近年、ドライポンプが従来の油潤滑式ポンプに代わって注目されています。ドライポンプはオイルフリーで、真空の性質を利用するため、油などの異物が混入するのを防ぐからです。
そのようなドライポンプにも複数の型が存在します。例えば、スクリュー型やルーツ型、ダイアフラム型などです。
そこで、今回はダイアフラム型ドライポンプに絞って解説していきます。ダイアフラム型ドライポンプはどのような仕組みでできているのか。また、ダイアフラム型ドライポンプの特徴や用途を解説していきます。
合わせて、ドライポンプメーカーの選び方とおすすめのドライポンプメーカーも紹介するので、導入に迷っている方は参考にしてみてください。
ダイアフラム型ドライポンプとは?
ダイアフラム型ドライポンプとは、油を使わずに気体や液体を排気するドライポンプの一種で、ダイアフラムの往復運動を利用して排気を行う装置です。

ダイアフラム型ドライポンプの仕組みは、ダイアフラムという膜を利用して気体を吸い上げ、吐き出すという仕組みです。ダイアフラムが上下または左右に振動することで、吸気口から入った気体を排出口へスムーズに排出します。
他の型との大きな違いは、ダイアフラムに使われる材質です。主にダイアフラム部分にゴムやフッ素樹脂が使用されています。
ゴムは、気体を吸い上げる役割を果たすダイアフラムに弾性力と柔軟性を与えます。また、ゴムは熱の耐性が低いため、フッ素樹脂をコーティングすることで、薬品と熱に耐性が付きました。
そのため、ダイアフラム型ドライポンプでは、腐食性に強いガスに対応しています。
ダイアフラム型ドライポンプの特徴3選
ダイアフラム型ドライポンプには取り扱う上で、特徴が3つ挙げられます。次の3つがダイアフラム型ドライ真空ポンプの長所になります。
以上の長所について詳しく解説したので見ていきましょう。
①腐食性の高いガスを取り扱える
1つ目の特徴は、腐食性の高いガスに対応しやすい点です。これは、ダイアフラム部分にフッ素樹脂などの耐薬品性に優れた材質を採用しているためで、塩素などの腐食性ガスや高温ガスから装置を保護します。
腐食性の高いガスは人体にも悪影響を及ぼしたり、製造する製品を劣化させてしまう可能性があります。その可能性からフッ素樹脂は耐熱性と耐薬品性の特性で、塩素などの腐食性の高いガスや高温の気体から製品を守ることができます。
②湿気や微粒子を含むガスの搬送が可能
2つ目の特徴は、湿気を含んだガスや微細な固形粒子を含むガスでも比較的対応しやすいことです。ダイアフラム型ドライポンプはシールレス構造のため、液漏れリスクが極めて低く、ガス中に多少の水分や微粒子が含まれていてもポンプ内部へのダメージを抑えられます。
ただし、あくまでもガス搬送が主目的であり、大量の液体そのものを吸い上げる用途には基本的に適していません。
③低騒音でコンパクトな設計である
3つ目の特徴は、低騒音でコンパクトな設計であることです。騒音が少ないことは、機械を扱う工場にとって、近隣住民に迷惑をかけることがありません。
次に、コンパクトな設計の製品もあることです。ダイアフラム型ドライポンプは、小型化に成功しています。
これにより工場に配置する際のスペースを取らず、持ち運び等も容易に行うことができます。低騒音で、コンパクトな設計はダイアフラム型ドライ真空ポンプの長所といえます。
ダイアフラム型ドライポンプの用途3選
ダイアフラム型ドライ真空ポンプの用途は主に3つ存在します。次の3つの用途について、なぜその用途が適しているのかを解説していきます。
以上の用途について見ていきましょう。
①半導体製造業
最初に紹介するダイアフラム型ドライ真空ポンプの用途は半導体製造業です。ここでは主に、半導体製造の工程において使用されます。
ダイアフラム型ドライポンプが半導体製造業に適しているのは2つの理由が挙げられます。
1つ目は、油を使わないからです。ダイアフラム型ドライポンプは油を使用しないため、排気ガスが汚染されることなく、クリーンな真空を作ることができます。これによって、半導体が油に汚染されることを防ぎます。
2つ目は、小型で振動が少ないからです。ダイアフラム型ドライポンプは小型のため、振動が少ないです。そのため、半導体のような精密な工程が求められる場面で最適と言えます。
これらの理由から、ダイアフラム型ドライ真空ポンプは半導体製造業に適しています。
②医薬品製造業(真空工程)
2つ目に紹介する用途は医薬品製造業です。医薬品製造においては、減圧乾燥や溶媒除去など、ガスを除去して真空状態を維持する工程が重要です。
ダイアフラム型ドライ真空ポンプは耐薬品性があり、汚染リスクが少なく、安定した真空環境を提供するため、品質や純度を保つうえで有用です。
これらの理由から、ダイアフラム型ドライ真空ポンプは医薬品製造業(真空工程)に適しています。
③食品・飲料製造業(真空パッケージ・脱気工程)
3つ目に紹介する用途は、食品・飲料製造業です。
食品・飲料製造では、真空パッケージングや液体中の溶存ガスの除去(脱気)が品質保持に役立ちます。ダイアフラム型ドライ真空ポンプは清潔な真空環境を実現し、オイルフリーで風味や安全性を損ないません。
ただし、大量の液体移送ではなく、主にガスを抜く工程で使用されます。これらの理由から、ダイアフラム型ドライ真空ポンプは食品・飲料製造業(真空パッケージ・脱気工程)に適しています。
ドライポンプメーカーの選ぶときのポイント3選
ダイアフラム型ドライ真空ポンプについて、その特徴や長所をご紹介してきましたが、設備の選定においては信頼できるメーカーの見極めが重要なポイントとなります。なぜなら、ダイアフラムの素材選定や成形技術は各メーカーの独自性が強く、これらは排気の安定性や設備の信頼性を大きく左右するためです。
加えて、メーカーの技術サポート体制は、ダイアフラムの寿命予測や最適な交換時期の提案といった維持管理の質に密接に関係します。そこで、あなたに最適なドライポンプメーカーを選定いただくためのポイントをご説明します。
1.複数のメーカーを比較検討する
各メーカーが提供するカタログやウェブサイトを確認し、それぞれの製品の特長や性能、価格帯を比較することで、自分のニーズに最も合った製品を選べます。
例えば、圧力範囲、排気速度、エネルギー効率、メンテナンスのしやすさ、さらには騒音や熱の発生量といったポイントがメーカーごとに異なるため、用途や設置環境に合うかどうかを慎重に検討しましょう。また、メーカーのサポート体制や保証内容も重要です。
複数の選択肢を比較することで、製品の強みと弱みが明確になり、長期的にコストパフォーマンスの良い選択ができるでしょう。信頼できるメーカーや代理店に相談するのもおすすめです。
2.実績と信頼のある会社か
メーカーや製品の実績と信頼性を確認することは重要です。まず、業界での実績を調べましょう。製品が長期間にわたり広く使用されている場合、それは技術力や製品品質の高さを裏付けるものといえます。
また、アフターサービスが充実しているかどうかも重要なポイントです。万が一故障した場合の対応スピードや、定期的なメンテナンスの提供体制が整っているメーカーを選ぶことで、安心して使用を続けることができます。
信頼性の高いメーカーは、トータルでのコストパフォーマンスにも優れているでしょう。
3.価格とメンテナンスが見合っているか
初期費用では、ポンプ本体の価格だけでなく、設置工事や付属装置の導入にかかる費用も含めて検討しましょう。さらに、ランニングコストも見逃せません。
電力消費量や、定期的なメンテナンスに必要な部品交換費用など、長期的なコストを考慮することで、総合的なコストパフォーマンスを判断できます。導入後のトラブル対応や、運用中の技術的な質問に迅速に対応できる体制が整っているかを確認することが大切です。
また、特殊な用途や環境に合わせたカスタム対応が可能なメーカーは、より柔軟にニーズに応えてくれるでしょう。
ドライ真空ポンプなら神港精機株式会社がおすすめ

項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 神港精機株式会社 |
設立年月日 | 1949年1月24日 |
資本金 | 3億7500万円 |
住所 | 神戸市西区高塚台3丁目1番35号 |
HP | https://www.shinko-seiki.com/ |
ドライ真空ポンプなら神港精機がおすすめです。神港精機は、真空ポンプをはじめとする様々な産業用機器の製造と販売を行っている日本のメーカーです。
例えば、スクリュー型ドライポンプの開発を筆頭に、薄膜形成装置やプラズマ処理装置という製品も開発しています。このような多数の技術開発の背景には、会社が創業してから75年で培った実績と経験の歴史が生かされています。
ドライ真空ポンプにおいて、これまで凝縮性ガスや粉体等を吸引するハードプロセスが極めて困難とされていました。しかし、神港精機では安定した運転を可能にするスクリュー型ドライ真空ポンプ『SST・SSXシリーズ』の開発に成功しています。
また、以下の記事にてドライ真空ポンプのおすすめの会社も書いているので、参考にしてみてください。
まとめ
今回はダイアフラム型ドライ真空ポンプについて紹介しました。
ダイアフラム型ドライ真空ポンプは腐食性の高い液体や粘液、固形物混合液の取り扱いに長けています。また、低騒音でコンパクトな設計のため、持ち運びができるのは大きな特徴です。
そのため、定期的なメンテナンスと部品交換やサポートとなる機器が必要なので、ダイアフラム型ドライ真空ポンプを使う際はこれを準備しましょう。
また、神港精機はドライポンプの開発に長い歴史を持ち、凝固性ガスや粉体というドライポンプが不向きとされていた液体や気体にも対応しています。本記事を参考にしながら、ぜひ貴社の用途に合ったメーカーや製品をお選びいただき、より良い成果の実現にお役立ていただければ幸いです。