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水封式真空ポンプとは?原理・メリット/デメリットと向いている用途を解説【ドライ式との違いも比較】

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水封式真空ポンプ
出典元:神港精機株式会社  

水封式真空ポンプは、湿気や異物を含むガスの処理に強い方式として、多くの産業分野で利用されています。自社の工程が水分や粉じんを含む環境か、あるいは高真空が必要な用途かによって、適した方式は大きく変わります。

しかし、すべての用途に適しているわけではなく、求める真空度や処理条件によっては他の方式のほうが適する場合もあります。そのため、単に仕組みを理解するだけでなく、「どのような現場に向いているのか」「他方式とどう違うのか」を整理することが大切です。また、真空ポンプはスペックではなく、処理条件から選ぶことも重要です。

本記事では、水封式真空ポンプの基本からメリット・デメリット、ドライポンプとの違い、選び方までを体系的に解説します。

さらに、ドライポンプを取り扱うメーカーもご紹介しますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

水封式真空ポンプとは?

水封式真空ポンプMEA
出典元:三浦工業株式会社

水封式真空ポンプは、水を利用して気体を圧縮・排出する特徴を持つ真空ポンプです。湿気や異物を含むガスにも対応しやすく、幅広い産業分野で活用されています。こちらでは仕組みと主な使用現場について整理し、基礎知識を理解できる内容を解説します。

仕組み

水封式真空ポンプの仕組み図解
引用元:神港精機株式会社

水封式真空ポンプは、ポンプ内部に封液として水を使用し、回転するインペラによって水のリングを形成する構造を持ちます。この水のリングが気体を取り込み、圧縮しながら排出することで真空状態をつくります。

構造は比較的シンプルで、液体が緩衝材として働くため、気体中に含まれる水分や異物の影響を受けにくい特徴があります。また、金属同士が直接接触しにくい仕組みであるため、摩耗やトラブルが起きにくい点も特長です。

こうした構造により、安定した運転を維持しやすく、過酷な条件下でも比較的安心して使用できます。

どんな現場で使われるか

工場内に置かれた水封式真空ポンプ
引用元:淄博真空装置工場有限公司

水封式真空ポンプは、水分や異物を含むガスを扱う現場で多く採用されています。例えば食品加工では、蒸気や水分を含んだ空気を排気する工程が多く、水封式の特性が適しています。

化学工場では、腐食性ガスや反応生成物を含む排気を処理する場面があり、耐性を持たせた水封式ポンプが活躍します。さらに排ガス処理設備では、粉じんや水分を含むガスを安定して処理できる点が評価されています。

紙・パルプ業界でも、水分を多く含む工程が多いため、安定稼働しやすい方式として導入されています。このように、水封式真空ポンプはクリーンさよりも耐性や安定性が求められる現場で選ばれる傾向があります。

水封式真空ポンプのメリット

メリットに関する画像
引用元:フォトAC

水封式真空ポンプのメリットは、異物や水分を含むガスへの対応力と安定した運用性にあります。過酷な環境でも性能を維持しやすく、設備全体の稼働率を高めやすい点が評価されています。さらに、トラブル発生時の影響を抑えやすい構造であるため、安定した生産体制を維持したい現場に適しています。

異物・水分を含むガスに対応しやすい

粉じんを含むガスのイメージ
引用元:フォトAC

水封式真空ポンプは、封液である水が内部でクッションの役割を果たすため、異物の影響を受けにくい傾向にあります。気体に水分が含まれていても性能が大きく低下しにくく、安定した運転を維持しやすい点が特徴です。

また、粉じんやスラリーが混入する環境でも比較的対応しやすく、他方式と比べてトラブルのリスクを抑えやすい傾向があります。

さらに、水が内部の冷却効果も担うため、温度上昇による性能低下を抑えやすく、長時間の連続運転にも適しています。異物が混入しても内部で分散されやすく、局所的な負荷がかかりにくい点も安定性につながります。こうした特性から、湿度や汚れの影響を受けやすい工程において、停止リスクを抑えながら安稼働を実現したい設備で選ばれています。

構造が比較的シンプル

LEM40MA 水封式真空ポンプ LEH/LEM シリーズ
引用元: 樫山工業株式会社

水封式真空ポンプは、構造がシンプルで可動部が少ないため、機械的なトラブルが発生しにくい特徴があります。複雑な機構を持たないことで、取り扱いや管理が比較的容易になり、現場での運用負担を軽減しやすくなります。また、部品同士の接触が少ない構造であるため摩耗が進みにくく、長期間にわたって安定した性能を維持しやすい点も評価されています。

加えて、構造が単純であることから点検や保守の手順も理解しやすく、運用担当者の習熟負担を抑えやすい点もメリットです。部品交換の頻度が比較的少なく、突発的な故障が発生しにくいことから、計画的な保守運用が行いやすくなります。このように、耐久性と扱いやすさを両立できることから、継続運転が求められる設備や、安定性を重視する現場に適した方式です。

水封式真空ポンプのデメリット

デメリットに関する画像
引用元:フォトAC

水封式真空ポンプは安定性や耐性に優れる一方で、用途によっては制約となる点もあります。求める真空度や運用条件によっては他方式のほうが適する場合もあり、事前に特徴を理解しておくことが重要です。

到達真空度の限界

水封式真空ポンプは、水を封液として利用する構造上、到達できる真空度に限界があります。高真空を必要とする用途では十分な性能を発揮できない場合があり、用途によっては別方式の検討が必要になります。また、水の温度によって蒸気圧が変化するため、運転条件によって真空度が影響を受ける点にも注意が必要です。

特に夏季など水温が高くなる環境では、到達真空度が低下しやすく、安定した性能を維持するためには温度管理が重要になります。冷却水の管理や運転条件の調整を行わない場合、期待する性能が得られない可能性があります。このように、使用環境による影響を受けやすい点を理解したうえで、用途に適した選定を行うことが求められます。

水管理・運用コスト

COSTと書かれたブロック
引用元:フォトAC

水封式真空ポンプは、封水の供給や排水が必要となるため、運用面での管理負担が発生します。使用する水の量や処理方法によっては、水処理設備の導入が必要になる場合もあります。また、水の補給や排水処理にかかるコストが継続的に発生するため、ランニングコストが増加しやすい傾向があります。

さらに、水質の管理も重要であり、不純物が多い水を使用すると内部の汚れや性能低下につながる可能性があります。適切な水質を維持するための管理体制や設備が求められる点も考慮する必要があります。このため、導入時には設備費だけでなく、運用コストや管理体制も含めて総合的に検討することが重要です。性があります。水封式真空ポンプを使用する際は、定期的なメンテナンスや適切な水質管理が不可欠です。

水封式真空ポンプとドライポンプの違いとは?比較表で特徴と選び方を解説

代用に関する画像
引用元:フォトAC
項目水封式真空ポンプドライポンプ
対応ガス水分・異物に強いクリーンガス向き
到達真空度中程度高真空対応可
異物耐性強い弱い(故障リスクあり)
停止リスク比較的低い(異物混入に強い)高い(異物でトラブル発生)
メンテ性水管理が必要清掃・部品交換中心
水処理の必要性必要(排水・処理が必要)不要
ランニング水・排水コストあり電力・部品コスト中心
向く用途汚れ・湿気あり高精度・クリーン

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水封式真空ポンプとドライポンプは、対応できる環境条件や運用特性に明確な違いがあります。水封式は水を利用する構造により、水分や異物を含むガスでも安定して処理しやすい特徴があります。一方でドライポンプは、内部に液体を使用しないためクリーンな状態を保ちやすく、高真空領域にも対応できる点が強みです。

また、異物耐性の面では水封式が優れており、粉じんやスラリーが混入する環境でもトラブルが起きにくい傾向があります。一方でドライポンプは異物に弱いため、使用環境の管理が重要になります。メンテナンスにおいても、水封式は封水の管理が必要となるのに対し、ドライポンプは部品交換や清掃を中心とした管理が求められます。このように、どちらが優れているかではなく、用途条件に応じて選定することが重要です。

向いている処理条件

GOODと書かれたブロック

水封式真空ポンプは、湿気や異物、腐食性ガスを含む排気を扱う環境に適しています。水が緩衝材として働くことで、多少の汚れや水分が混入しても安定した運転を維持しやすくなります。そのため、排ガス処理や食品加工など、水分を含む工程で採用されることが多くなっています。

一方、ドライポンプは乾燥したガスを対象とし、高真空やクリーン性が求められる用途に適しています。半導体や医薬分野のように、わずかな汚染も避ける必要がある工程では、ドライポンプの特性が活かされます。このように、処理対象の性質や求められる性能によって適した方式は異なります。

保守・停止リスク・清掃性

水封式真空ポンプは、異物や水分に対する耐性が高く、内部での詰まりや損傷が発生しにくい構造です。そのため、突発的な停止リスクを抑えながら安定した稼働を維持しやすい特徴があります。ただし、水の管理を適切に行わない場合は性能低下につながるため、日常的な管理が重要です。

一方、ドライポンプは内部がクリーンな状態に保たれる一方で、異物が混入するとトラブルにつながりやすい傾向があります。ただし、分解清掃や部品交換がしやすく、適切にメンテナンスを行うことで高い性能を維持できます。それぞれの保守特性を理解し、運用体制に合った方式を選ぶことが重要です。

水封式とドライ式はどちらを選ぶべきか?

選択という文字と虫眼鏡
引用元:フォトAC

水封式真空ポンプとドライポンプは、それぞれ異なる強みを持つため選定には判断が求められます。処理するガスの性質や求める真空度、運用条件によって適した方式は変わります。こちらでは用途別にどちらが向いているかを整理し、選定時の考え方をわかりやすく解説します。

水封式が向くケース

中型プロセス向け液封式真空ポンプ
引用元:株式会社ニクニ

水封式真空ポンプは、湿気や異物を含むガスを扱う環境に適した方式です。乾燥工程や蒸気を伴うプロセスでは排気に水分が多く含まれるため、封水を利用する構造が安定した運転に寄与します。また、粉じんやスラリーが混入するガス処理においても、内部構造がそれらの影響を受けにくく、トラブルの発生を抑えやすい点が評価されています。

さらに、腐食性ガスを扱う現場では、材質を適切に選定することで耐久性を確保しながら運用できる点も特徴です。多少の条件変動や負荷があっても性能が大きく低下しにくいため、安定稼働を重視する設備に向いています。このように、処理対象の状態が安定していない現場や、異物混入のリスクがある環境では、水封式真空ポンプが有効な選択肢となります。

・トラブル停止を避けたい現場
・排気条件が安定しない工程

ドライ式が向くケース

神港精機株式会社のドライ真空ポンプ(スクリュー式)SST/SSXシリーズ
引用元:神港精機株式会社

ドライポンプは、クリーンな環境や高真空が求められる用途に適した方式です。半導体や医薬分野のように微細な汚染も許されない工程では、内部に液体を使用しない構造が安定した品質維持につながります。また、高真空領域まで対応できるため、精密な圧力制御が必要なプロセスにも適しています。

さらに、水処理設備が整っていない環境では、封水の供給や排水が不要なドライポンプの方が運用しやすくなります。メンテナンス面でも、定期的な部品交換や清掃によって性能を維持しやすく、計画的な保守が可能です。突発的な停止リスクや管理負担を抑えたい場合にも適しており、安定した品質と運用効率を重視する現場で選ばれる傾向があります。

方式選定で失敗しないためのチェックポイント

チェックボックスが書かれた紙
引用元:フォトAC

真空ポンプの方式選定は、処理条件や運用環境によって最適な判断が求められます。性能だけで選定すると、導入後にトラブルやコスト増加につながる可能性があります。こちらでは選定時に確認すべきポイントを整理し、失敗を防ぐための考え方を解説します。

ガスに水分や異物は含まれますか?

まず確認すべきなのは、処理対象となるガスの性質です。水分や粉じん、スラリーなどが含まれる場合、それらに耐性のある方式を選定する必要があります。適さない方式を選ぶと、内部の摩耗や詰まり、性能低下を引き起こす可能性があります。一方で、乾燥したクリーンなガスであれば、より高性能な方式を選択する余地が広がります。ガスの状態を正確に把握することが、適切な方式選定の出発点となります。

必要な真空度は中真空ですか、それとも高真空ですか?

次に重要なのは、必要とされる真空度のレベルです。中真空で十分な用途なのか、高真空が求められるのかによって、選択肢は大きく異なります。必要以上に高性能なポンプを選定すると、初期費用や運用コストが増加する可能性があります。一方で、性能が不足している場合は、生産効率や品質に影響を与えるリスクがあります。用途に応じた適切な真空度を見極めることが、無駄のない選定につながります。

装置停止は許容できますか?

設備の運用において、どの程度の停止リスクを許容できるかも重要な判断基準です。連続稼働が求められるラインでは、トラブル発生時の影響が大きくなるため、安定性を重視した方式が適しています。一方で、停止しても大きな影響がない工程では、性能やコストを優先した選択も検討できます。運用体制や生産計画に合わせて、リスクと性能のバランスを考慮することが求められます。

水処理設備はありますか?

液封式真空ポンプ
引用元:株式会社 鶴見製作所

水を使用する方式を検討する場合は、水処理設備の有無を事前に確認する必要があります。封水の供給や排水処理が必要となるため、設備環境によっては導入のハードルが高くなることがあります。水処理設備が整っていない場合は、別途設備投資が必要になる可能性もあります。既存のインフラとの適合性を確認することで、導入後の負担を抑えやすくなります。

ランニングコストはどこまで許容できますか?

最後に、ランニングコストの視点も欠かせません。真空ポンプは導入後も継続的に運用コストが発生するため、水や電力、メンテナンス費用を含めて検討することが重要です。初期費用が低くても、運用コストが高い場合は長期的な負担が大きくなります。逆に初期投資が高くても、運用コストが抑えられる場合は総合的に有利になることもあります。コスト全体を見据えた判断が、最適な方式選定につながります。

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ドライ真空ポンプでおすすめなメーカー3選

ドライ真空ポンプでおすすめなメーカーは以下の3社です。

それぞれの会社の特徴を把握して、どのドライ真空ポンプメーカーが合うかの参考にしてみてください。

神港精機株式会社

出典元:神港精機株式会社

神港精機は、長年の実績と高い技術力を誇る真空ポンプの専門メーカーです。神港精機の製品は耐久性と性能の高さで、多くの産業分野から信頼を得ています。

スクロールできます
項目詳細
会社名神港精機株式会社
設立昭和24年1月24日
住所神戸市西区高塚台3丁目1番35号
HPhttps://www.shinko-seiki.com/

特に、ドライ真空ポンプはクリーンな環境を求める現代の製造現場において、重要性を増しています。また、神港精機のドライ真空ポンプは独自の技術により、油回転式真空ポンプに比べてメンテナンスの頻度を大幅に削減し、環境への負荷も低減してくれます。

幅広いラインナップを誇り、さまざまな用途やニーズに対応可能です。

また、神港精機についてもっと気になる人は実際にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

また、以下の記事にて神港精機について書いているので、参考にしてみてください。

株式会社アルバック

出典:株式会社アルバック

アルバックは真空技術で世界をリードする企業であり、ドライ真空ポンプにおいても高い評価を得ています。長年の研究開発で培われた技術力と豊富な製品ラインナップで、さまざまな産業分野のニーズに応えています。

項目詳細
会社名株式会社アルバック
会社住所神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地
創業年数昭和27年
公式サイトhttps://www.ulvac.co.jp/

アルバックのドライ真空ポンプは、安定した性能と耐久性に優れており、メンテナンスも容易です。サポート体制も充実しており、導入してからも安心して稼働ができます。

また、以下の記事ではアルバックの製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

樫山工業株式会社

出典:樫山工業株式会社

樫山工業株式会社は、ドライ真空ポンプの分野で高い評価を得ている日本のメーカーです。1951年の創業以来、真空技術を追求し続け、多岐にわたる産業分野に高品質な製品を提供しています。

項目詳細
会社名樫山工業株式会社
会社住所長野県佐久市根々井1-1
創業年数昭和26年
公式サイトhttps://www.kashiyama.com/

半導体製造プロセスにおいては、樫山工業の真空ポンプが欠かせない存在となっているのが特徴です。樫山工業は顧客のニーズに合わせた製品開発にも力を入れており、多様な要求に応える製品ラインナップを誇ります。

環境への配慮も重視しており、省エネルギー性能に優れた製品や、環境負荷の低い製品の開発にも積極的に取り組んでいるのもポイントです。

また、以下の記事では樫山工業の製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

まとめ

まとめと書かれたメモ
引用元:フォトAC

今回は水封式真空ポンプの特徴と選び方について解説しました。

水封式は湿気や異物に強く安定した運用が可能ですが、高真空やクリーン性が求められる用途ではドライポンプの方が適する場合もあります。

方式ごとの特徴を比較し、処理条件に合った選定を行うことが重要です。真空ポンプの選び方で迷っているなら本記事を参考にしてください。

水封式は安定性に優れる一方で、用途によってはドライポンプの方が適するケースもあります。処理対象や必要な真空度によって最適な方式は異なるため、条件を整理したうえで比較検討することが重要です。

用途に合った真空ポンプ選定を行いたい方は、方式ごとの特徴を整理した情報も参考にしてください。

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