エドワーズ株式会社は、真空技術のグローバルリーダーとして、半導体、フラットパネルディスプレイ、太陽電池など先端産業から一般産業まで幅広い分野に革新的な真空ソリューションを提供しています。1919年にイギリスで創業し、100年以上の歴史を持つ同社は、高性能かつ信頼性の高い真空ポンプと真空システムで世界中の顧客から高い評価を受けています。
本記事では、エドワーズの歴史と強み、そして多彩な真空ポンプラインナップについて詳しく解説します。
さらに、ドライポンプを取り扱うメーカーもご紹介しますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
エドワーズとは

項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | エドワーズ株式会社 |
設立年月日 | 1971年10月 |
住所 | 千葉県八千代市吉橋1078-1 |
HP | https://www.edwardsvacuum.com/ja-jp |
エドワーズ株式会社は、1919年にイギリスで創業された真空技術の専門メーカーです。創業者のF.D.エドワーズ氏は科学機器の開発に情熱を持ち、初期の真空ポンプ開発に大きく貢献しました。その後、半世紀以上にわたり真空技術を追求し続け、現在では世界トップクラスの真空機器メーカーとして確固たる地位を築いています。
2014年にはアトラスコプコグループの一員となり、さらなるグローバル展開と技術革新を進めています。現在、世界30カ国以上に拠点を持ち、約7,000人の従業員を擁するグローバル企業です。日本法人のエドワーズ株式会社は1978年に設立され、国内の半導体・FPD・太陽電池メーカーをはじめとする先端産業に真空ソリューションを提供しています。
同社の企業理念は「持続可能な未来のための真空革新」です。この理念のもと、省エネルギーや環境負荷低減を重視した製品開発を推進し、顧客の生産性向上と環境目標達成の両立をサポートしています。
近年は特にIoT技術を活用した予防保全システムや、プロセス最適化のためのデータ分析ソリューションなど、真空技術とデジタル技術を融合した新しいサービスの開発にも力を入れています。
エドワーズの強み
エドワーズの競争力の源泉は、100年以上にわたって蓄積された真空技術と継続的なイノベーションにあります。
特に半導体製造や科学研究など先端分野に対応する高性能真空技術では世界をリードしており、グローバルなサービスネットワークと環境に配慮した製品開発も同社の大きな強みとなっています。
先進的な真空技術と研究開発力
エドワーズの最大の強みは、長年にわたり培われた先進的な真空技術と継続的な研究開発への投資です。同社は売上高の約5%を研究開発に投じており、イギリス、アメリカ、韓国、日本などに研究開発センターを設け、次世代の真空技術開発に取り組んでいます。
特に半導体製造プロセスに最適化された真空ポンプの開発では、腐食性ガスや反応性の高いプロセスガスにも対応できる材質選定や設計技術を確立しています。また、精密な真空度制御と高い排気性能を両立したターボ分子ポンプは、最先端の研究施設や半導体製造ラインで広く採用されています。
近年特に注力しているのが、AIやIoT技術を活用した「スマート真空ソリューション」の開発です。真空ポンプの運転データをリアルタイムで収集・分析し、故障の予兆検知や最適運転制御を実現するシステムは、生産性向上とダウンタイム削減に大きく貢献しています。
グローバルサービスネットワーク
エドワーズは世界30カ国以上に拠点を持ち、グローバルな販売・サービスネットワークを構築しています。これにより、世界中のどこでも同一品質のサービスとサポートを提供することが可能です。特に半導体やFPD産業など、グローバルに展開する顧客にとって、この統一されたサポート体制は大きな安心感をもたらしています。
同社のサービス体制は「24/7/365」をモットーに、24時間365日対応の緊急サポートを提供しています。特に生産ラインの停止が大きな損失につながる半導体製造においては、このような迅速な対応力が高く評価されています。また、予防保全プログラムや定期メンテナンス契約も充実しており、設備の安定稼働と長寿命化をサポートしています。
近年は「エドワーズ・センネクト」と呼ばれるリモートモニタリングシステムも導入し、真空ポンプの運転状態をリアルタイムで監視・分析することが可能になりました。これにより、故障の予兆を早期に検知し、計画的なメンテナンスを実施することで、予期せぬダウンタイムを大幅に削減しています。
環境負荷低減への取り組み
エドワーズは「持続可能な未来のための真空革新」を理念に掲げ、環境負荷低減に積極的に取り組んでいます。特に真空ポンプの省エネルギー化は長年の課題であり、同社は継続的な技術革新によりエネルギー効率の向上を実現してきました。
最新のドライポンプシリーズでは、先進的なモーター技術とインバーター制御の採用により、従来モデルと比較して最大40%の消費電力削減を達成しています。また、熱回収システムの導入により、ポンプの排熱を有効活用する取り組みも進めています。
半導体製造やディスプレイ製造では、温室効果の高いガスが使用されることがありますが、エドワーズはこうしたガスの排出削減にも貢献しています。同社のアベイトメントシステムは、プロセスから排出される有害ガスや温室効果ガスを効率的に無害化処理する技術で、環境保全と法規制対応の両面で顧客をサポートしています。
また、製品のライフサイクル全体での環境影響低減にも注力しており、設計段階からリサイクル可能な材料の使用や解体のしやすさを考慮した構造設計を行っています。
エドワーズが製造する真空ポンプ
エドワーズは、様々なタイプの真空ポンプを製造しており、用途や要求性能に応じた最適な製品を提供しています。
特に半導体製造や科学研究などの先端分野で使用される高性能真空ポンプに強みを持ち、クリーンで安定した真空環境を実現するソリューションを展開しています。主力製品としては、ドライスクロールポンプ、ドライスクリューポンプ、ターボ分子ポンプが挙げられます。
ドライスクロールポンプ
エドワーズのドライスクロールポンプは、渦巻き状のスクロール(渦巻き)を使用して気体を圧縮・排気する方式の真空ポンプです。オイルを使用しないドライ方式のため、クリーンな真空環境が必要な用途に最適です。特に小型・軽量で低騒音という特徴があり、研究室や分析機器など、限られたスペースでの使用に適しています。
「nXDS」シリーズは同社の代表的なスクロールポンプで、最先端の設計技術により高い真空性能と長寿命を実現しています。特殊コーティングを施したスクロール部品により耐摩耗性と耐食性を向上させ、メンテナンス頻度の低減と総所有コストの削減を可能にしています。排気速度は10〜40m³/h(リットル/分に換算すると約170〜670L/min)の範囲で、様々な用途に対応可能です。
主な用途としては、質量分析計や電子顕微鏡などの分析機器、R&D実験装置、小型プロセス装置などが挙げられます。
ドライスクリューポンプ
エドワーズのドライスクリューポンプは、2本のスクリュー(螺旋状のローター)が精密に噛み合いながら回転することで気体を圧縮・排気する機構を持つ真空ポンプです。
「GXS」シリーズは同社の主力ドライスクリューポンプで、先進的なスクリュー設計と精密な温度制御技術により、高い信頼性と安定した性能を実現しています。腐食性ガスや粉塵を含むプロセスにも対応できる耐久設計となっており、半導体やディスプレイ製造の過酷な環境でも安定した稼働が可能です。
インテリジェント制御システムを搭載した「GXS」シリーズは、プロセス条件に応じた最適運転制御が可能で、省エネルギー性能も向上しています。特に半導体エッチングやCVD(化学気相成長)プロセスなど、反応性の高いガスを使用する工程での実績が豊富です。
ターボ分子ポンプ
エドワーズのターボ分子ポンプは、高速回転する複数段のローター(回転翼)とステーター(固定翼)によって気体分子に運動量を与え、高真空から超高真空領域を実現する高性能真空ポンプです。油を使用しないクリーンな真空を作り出せるため、半導体製造、表面分析、粒子加速器など高度な研究・製造プロセスに不可欠な装置となっています。
「nEXT」シリーズは同社の最新ターボ分子ポンプで、革新的なローター設計と磁気浮上軸受技術により、高い信頼性と優れた排気性能を実現しています。排気速度は42〜3,300L/s(約2,520〜198,000L/min)の広い範囲で、様々な用途に対応可能です。特に水素や軽いガスに対しても高い排気性能を持つ特長があります。
先進的な制御技術を採用した「nEXT」シリーズは、運転状態のリアルタイムモニタリングや予防保全機能を備えており、安定した長期運転を可能にしています。主な用途としては、半導体検査装置、表面分析装置(XPS、SIMS、AESなど)、電子顕微鏡、質量分析計、粒子加速器、真空炉などが挙げられます。
真空ポンプを検討するなら神港精機もおすすめ

項目 | 詳細 |
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会社名 | 神港精機株式会社 |
設立年月日 | 1949年1月24日 |
住所 | 神戸市西区高塚台3丁目1番35号 |
HP | https://www.shinko-seiki.com/ |
神港精機では、次のような真空ポンプの取り扱いがあります。
- 油回転真空ポンプ
- ドライ真空ポンプ
- メカニカルブースターポンプ
- 油拡散ポンプ
- 水封式真空ポンプ
神港精機の真空ポンプは、操作が簡単でありメンテナンスも容易に行えるものがほとんどです。また、真空ポンプ本体がコンパクトに作られており低騒音のものが多いため、快適な作業環境を作れます。
神港精機の真空ポンプで気になる製品があれば、問い合わせをして最適な排気速度のものをピックアップしてもらいましょう。
神港精機の真空ポンプは、基礎研究から産業応用まで幅広い用途に対応しており、特に研究開発用途の小型真空ポンプが充実しています。製品ラインナップには、従来の油回転真空ポンプから最新のドライ真空ポンプまで様々なタイプを取り揃え、用途と予算に応じた選択が可能です。
特長としては、使いやすさとメンテナンス性の良さが挙げられます。特に国内での迅速なサポート体制は、トラブル発生時の迅速な対応を可能にし、研究や生産の中断リスクを最小限に抑えることができます。また、標準製品では対応できない特殊なニーズにも柔軟に対応し、カスタマイズ製品の開発も行っています。
また、以下の記事にてドライ真空ポンプのおすすめの会社も書いているので、参考にしてみてください。
まとめ
エドワーズ株式会社は、1919年にイギリスで創業以来、100年以上にわたり真空技術のイノベーションを追求してきたグローバルリーダーです。半導体、フラットパネルディスプレイ、太陽電池などの先端産業から一般産業まで、様々な分野に革新的な真空ソリューションを提供しています。
同社の強みは、長年培われた先進的な真空技術と継続的な研究開発への投資にあります。特に半導体製造プロセスに最適化された真空技術では世界をリードしており、AIやIoT技術を活用した「スマート真空ソリューション」の開発も進めています。
真空ポンプを検討する選択肢として神港精機も紹介しました。神港精機は国内に根差した真空機器専門メーカーとして、特に研究機関や中小規模の製造現場向けに使いやすい実用的な真空ポンプを提供しています。本記事の情報が、最適な真空ポンプ選びの参考になれば幸いです。