メカニカルブースタポンプにはどんな特徴がある?
メカニカルブースタポンプのメリット・デメリットを知りたい
このように、メカニカルブースタポンプについて詳しく知りたいと思っている方は、多いのではないでしょうか。メカニカルブースタポンプは、油回転真空ポンプやドライポンプなどと組み合わせて利用する補助ポンプです。
操作が簡単で排気速度を増大できるメリットがあります。しかし、メカニカルブースタポンプのデメリットを把握しないで、導入すると後悔する可能性が高いです。
そこでこの記事では、メカニカルブースタポンプの特徴やメリット・デメリットについて解説します。メカニカルブースタポンプについて詳しく知るためにも、この記事をチェックしてみてください。
さらに、ドライポンプを取り扱うメーカーもご紹介しますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
メカニカルブースタポンプとは?
ここでは、メカニカルブースタポンプの仕組みと利用されている分野について解説します。メカニカルブースタポンプがどのような真空ポンプなのかが分かるでしょう。
メカニカルブースタポンプの仕組み
メカニカルブースタポンプは、他の真空ポンプと組み合わせて使用され、真空度を高める役割を担う装置です。内部には、互いに噛み合わない一対のローターが高速で回転します。
ローターの回転によって気体を圧縮し、排気口へと送り出す仕組みです。
メカニカルブースタポンプの利用分野
メカニカルブースタポンプは、半導体製造や食品業界、医薬品業界、研究開発分野などで利用されています。特に半導体製造プロセスでは、高い排気速度と安定性から、不可欠な存在です。
薄膜形成やエッチングなど、高度な真空環境が求められる工程で、性能が最大限に発揮されます。食品業界では真空包装機に利用され、食品の鮮度保持や長期保存に貢献しています。
医薬品業界でも、真空乾燥や凍結乾燥といったプロセスで、医薬品の品質維持に利用されるケースが多いです。研究開発分野では、真空チャンバーや分析装置に組み込まれ、物質の特性評価や新材料の開発を支えています。
メカニカルブースタポンプを利用するメリット
メカニカルブースタポンプを利用するメリットは以下の3つです。
それぞれのメリットを把握して、メカニカルブースタポンプの魅力を把握しましょう。
排気速度を増大できる
メカニカルブースタポンプは真空排気システムにおいて、排気速度を大幅に向上させるために使用される装置です。特に、中真空領域において、効果を最大限に発揮します。
メカニカルブースタポンプはルーツポンプとも呼ばれ、2つのローターが逆方向に回転することで気体を圧縮し、排出する仕組みです。他の真空ポンプと組み合わせることで、システム全体の排気速度を飛躍的に高められます。
メカニカルブースタポンプを使用することで、真空プロセスの時間を大幅に短縮し、生産効率の向上に貢献します。また、より高い真空度を実現できるため、製品の品質向上にも期待できるでしょう。
操作が簡単でメンテナンスも容易
メカニカルブースタポンプはシンプルな構造をしており、複雑な操作を必要としません。専門的な知識を持たない方でも比較的容易に扱えます。
また、定期的なメンテナンスも比較的簡単に実施できます。部品点数が少ないため、分解や清掃が容易であり、メンテナンスにかかる時間やコストを削減することが可能です。
耐久性に優れた素材が使用されていることが多く、長期間にわたって安定した性能を維持できるのもメリットといえるでしょう。
クリーンな真空を実現できる
メカニカルブースタポンプは油回転ポンプと組み合わせて使用することで、よりクリーンな真空環境を実現できる装置です。油回転ポンプだけでは、油蒸気が逆流し、真空チャンバー内を汚染してしまう可能性があります。
メカニカルブースタポンプを組み合わせることで、油蒸気の逆流を抑制し、より清浄な真空状態を維持できます。特に、半導体製造や医療機器など、高度な清浄度が求められる分野において、メカニカルブースタポンプは欠かせない存在です。
メカニカルブースタポンプは、ポンプ内部での油の劣化も抑制できるため、メンテナンス頻度を減らせます。ランニングコストの削減もできるでしょう。
メカニカルブースタポンプを利用するデメリット
メカニカルブースタポンプを利用するデメリットは以下の3つです。
それぞれのデメリットを把握して、メカニカルブースタポンプが自社に合っているかの参考にしてみてください。
高すぎる圧力で故障する可能性がある
メカニカルブースタポンプは、高すぎる圧力で使用すると故障のリスクが高まります。過度な圧力はポンプ内部のローターやベアリングに過剰な負荷をかけ、摩耗や破損を引き起こす可能性があります。
メカニカルブースタポンプを使用する際は、必ずメーカーが推奨する圧力範囲内で運転することが重要です。圧力計を定期的に確認し、異常な圧力上昇が見られた場合は、速やかに運転を停止して、原因を特定する必要があります。
単体では大気圧から作動できない
メカニカルブースタポンプは、単体で大気圧から作動できません。ローターとケーシングのクリアランスが非常に小さく設計されており、大気圧ではローターが過負荷状態で、故障の原因となるためです。
メカニカルブースタポンプを使用するには、必ず補助ポンプとの組み合わせが必要です。補助ポンプによってあらかじめ真空状態を作り出すことで、メカニカルブースタポンプは安全に作動できます。
性能は後段ポンプの機種・性能によって変わる
メカニカルブースタポンプの性能は後段ポンプの機種や性能に大きく左右されます。メカニカルブースタポンプは、単独では大気圧から作動できません。
必ず後段に別の真空ポンプを接続する必要があります。後段ポンプの性能が、メカニカルブースタポンプ全体の性能を決定づけるのです。
例えば、後段ポンプの排気速度が低い場合、メカニカルブースタポンプで排気速度を向上させても、全体の排気速度は後段ポンプの性能に制限されます。また、後段ポンプの到達圧力が高ければ、メカニカルブースタポンプでより低い圧力を達成できません。
メカニカルブースタポンプの性能を最大限に引き出すためには、後段ポンプとの適切な組み合わせが不可欠です。後段ポンプの選定を誤ると、期待した性能が得られないだけでなく、エネルギー効率の低下や装置の故障にもつながる可能性があります。
メカニカルブースタポンプはドライ真空ポンプで代用できる?
メカニカルブースタポンプは、油回転真空ポンプやドライポンプに組み合わせる補助ポンプとして利用されます。したがって、ドライ真空ポンプで代用できるケースがあります。
たとえば、ドライ真空ポンプの性能が油回転真空ポンプやドライポンプとメカニカルブースタポンプを組み合わせた性能よりも高ければ、代用可能です。ただし、すべての分野でドライ真空ポンプが代用できるわけではありません。
必要な性能や価格帯、メンテナンス性、コストなどを考慮して総合的に判断する必要があります。
ドライ真空ポンプでおすすめなメーカー3選
ドライ真空ポンプでおすすめなメーカーは以下の3社です。
それぞれの会社の特徴を把握して、どのドライ真空ポンプメーカーが合うかの参考にしてみてください。
神港精機株式会社

神港精機株式会社は、真空ポンプの設計・開発・製造・販売まで一貫して手掛ける真空技術のリーディングカンパニーです。長年培ってきた高い技術力と豊富な経験を活かし、多種多様なニーズに対応する高品質なドライ真空ポンプを提供しています。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 神港精機株式会社 |
設立 | 昭和24年1月24日 |
住所 | 神戸市西区高塚台3丁目1番35号 |
HP | https://www.shinko-seiki.com/ |
神港精機のドライ真空ポンプは、半導体や液晶、医療、食品、研究開発など、幅広い分野で利用されています。特に、クリーンな真空環境が求められる分野において、高い評価を得ているのがポイントです。
独自の技術による高い排気性能と、徹底した品質管理体制による信頼性の高さにあります。また、顧客の要望に合わせたカスタマイズにも柔軟に対応できる点も、多くの企業から支持されている理由のひとつです。
また、神港精機についてもっと気になる人は実際にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
また、以下の記事にて神港精機について書いているので、参考にしてみてください。

株式会社アルバック

アルバックは真空技術で世界をリードする企業として、幅広い産業分野に高品質な真空ポンプを提供しています。アルバックのドライ真空ポンプは、半導体や液晶、太陽電池などの製造プロセスに欠かせない存在です。
項目 | 詳細 |
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会社名 | 株式会社アルバック |
会社住所 | 神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地 |
創業年数 | 昭和27年 |
公式サイト | https://www.ulvac.co.jp/ |
高度な真空環境が求められるため、アルバックの技術力が大きく貢献しています。また、アルバックのドライ真空ポンプは研究開発分野においても、広く活用されています。
充実したサポート体制が整っているため、トラブルが発生しても迅速に対応してくれるでしょう。
また、以下の記事ではアルバックの製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

樫山工業株式会社

樫山工業は高性能で高品質なドライ真空ポンプを提供している日本のメーカーです。樫山工業のドライ真空ポンプは、高い信頼性と耐久性から、多くの企業に導入されています。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 樫山工業株式会社 |
会社住所 | 長野県佐久市根々井1-1 |
創業年数 | 昭和26年 |
公式サイト | https://www.kashiyama.com/ |
顧客のニーズに合わせた製品開発にも力を入れており、常に技術革新を追求しているのもポイントです。商品のラインナップも豊富にあるため、自社に合うドライ真空ポンプを見つけられるでしょう。
また、以下の記事では樫山工業の製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

まとめ
メカニカルブースタポンプは、油回転真空ポンプやドライポンプなどに組み合わせて使用する補助ポンプです。排気速度を増大でき、油回転真空ポンプでもクリーンな真空を実現できます。
しかし、高すぎる圧力で稼働すると故障する可能性があり、単体では作動できないというデメリットがあります。メカニカルブースタポンプが必要かは、求める性能によって変わるため、事前に確認しておきましょう。
この記事を参考にして、自社に合うドライ真空ポンプを見つけてみてください。