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ターボ分子ポンプとは?特徴やメリット、ドライ真空ポンプとの併用メリットも解説

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ターボ分子ポンプの画像
出典元:大阪真空機器製作所

半導体製造や分析機器など先端分野で欠かせない真空環境は、高精度な排気性能が求められます。特に『ターボ分子ポンプ』は高速回転翼により分子を効果的に捕捉し、クリーンかつ低振動で高真空を実現できる装置です。

本記事は、ターボ分子ポンプの基礎知識や特徴、メリットやデメリットについて解説します。さらに、ドライ真空ポンプとの組み合わせにより、より効率的かつクリーンな真空環境を実現する方法も併せて紹介します。

真空ポンプの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。記事後半では、信頼できるメーカーの選び方やおすすめ企業も紹介しますので、導入検討の際にお役立てください。

さらに、ドライポンプを取り扱うメーカーもご紹介しますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

ターボ分子ポンプとは?特徴も解説

ターボ分子ポンプの画像
出典元:アルバック

ターボ分子ポンプとは、高速回転するタービン羽根が気体分子を直接捕捉して排気するオイルフリーの真空ポンプのことです。その特徴は10⁻⁷Pa以下の高真空を短時間で実現できる点です。

また、オイルを使わない構造のためバックストリーム汚染が抑制され、半導体製造や質量分析装置など精密分野で活躍します。定期的なベアリング交換は必要ですが、最新モデルでは長寿命化が進み、メンテナンスが必要になるまでの期間がこれまでより長くなっています。

したがって、運用コストを抑えつつ高精度な真空環境を維持できる点も大きなメリットです。軽量化が進んだモデルも登場しており、装置全体の設計自由度向上にも貢献しています。

ターボ分子ポンプの仕組みと役割

出典元:アルバック

ターボ分子ポンプは回転翼(ローター)が高速回転し、気体分子との衝突で運動エネルギーを奪い排気方向へ導く方式を採用しています。分子流領域で高効率に作動し、10⁻⁴Pa以下から10⁻⁷Pa程度の高真空を実現するために前段ポンプと組み合わせて使用します。

主要構成は複数段のタービンステージで、各段が分子を次段へ連続移送する仕組みです。その役割は、粗引き真空後の圧力を低下させて高真空へ橋渡しし、化学残留や油分を極力排除したクリーンな環境を提供することです。

ターボ分子ポンプのメリット

ここからは、ターボ分子ポンプのメリットについて解説します。

以下で、各メリットのポイントについて詳しく解説します。

高真空性能に優れている

ターボ分子ポンプはローターを毎分数万回という高速回転で駆動し、気体分子を効率よく捕捉して排気します。高真空性能が求められる半導体製造や表面分析において最適な選択肢です。なぜなら、複数段のタービンステージが段階的に圧力を低下させ、10⁻⁷Pa程度の低圧環境を実現できるからです。

具体例として、質量分析装置では他のポンプでは困難な低分子量イオンの検出が可能になります。したがって、正確な分析結果を得たい装置には欠かせない存在でしょう。

クリーンで低振動な運転が可能

ターボ分子ポンプはオイルフリー構造を採用し、内部に潤滑油を用いないためバックストリーム汚染が生じません。クリーンルームやバイオ分野などでの導入に最適です。なぜなら、オイルミストが排気ラインへ逆流せず、サンプルや装置への汚染リスクを大幅に低減できるからです。

具体例として、電子顕微鏡の試料台周辺に油滴が付着しないことで長期安定観察が可能になります。したがって、精密機器の信頼性維持に大きく貢献します。

コンパクト設計で省スペースに対応できる

ターボ分子ポンプは多段構造を効率化しつつ、外形寸法を抑えたモデルが増えています。小規模ラボや装置キャビネットへの組み込みにおすすめです。なぜなら、ポンプヘッドとドライブユニットが一体化した設計やモジュール化によって設置面積を小さくできるからです。

具体例として、従来の油回転真空ポンプと比べてポンプ台数を減らした配置が可能になります。したがって、研究スペースの有効活用や装置レイアウトの簡素化に役立つでしょう。

ターボ分子ポンプのデメリット

優れた排気性能を誇る反面、運用環境やコスト面で注意が必要な点もあります。特に振動・電力・初期投資に関わる要素は、導入計画時に検討すべきポイントです。

ここからは、ターボ分子ポンプのデメリットについて解説します。

以下で、各デメリットについて詳しく解説します。

振動に弱く、設置に注意が必要

ターボ分子ポンプは高速回転に伴う微小なアンバランス振動が発生します。振動対策を講じないと性能低下や周辺機器への影響が出ることがデメリットのひとつです。なぜなら、数万rpmで回転するローターが微小な軸ズレでも振動を誘発し、ベアリングへの負荷が増大するからです。

具体例として、精密顕微鏡や光学実験装置では観察像のブレが発生することがあります。したがって、防振マウントや専用架台の導入を検討すべきでしょう。

初期コストやメンテナンス費用が高め

ターボ分子ポンプは、初期費用や定期的なベアリング交換コストを見積もった上で予算計画を立てる必要があります。なぜなら、ターボ分子ポンプは高精度加工部品と専用コントローラを必要とするため、導入時の投資額が大きくなるからです。

また、高精度ベアリングやシール部品が摩耗限界に達すると交換が必須となり、部品費用が高額になります。標準モデルのベアリング交換は数十万円規模の出費が見込まれます。したがって、長期運用を見越したライフサイクルコスト管理が重要です。

運転時の電力消費が大きい

ターボ分子ポンプは高速回転を維持するために駆動モーターが継続稼働し、電力消費量が高くなってしまうことがデメリットのひとつです。電力コストを考慮した運用スケジュールを策定する必要があります。なぜなら、ローターを毎分数万回で回し続けることで消費電力が油回転ポンプよりも大きくなるからです。

連続運転時には月間数万円規模の電気代増加が予想されます。したがって、省エネモードや自動停止機能などを活用して運用コストを抑制しましょう。

ターボ分子ポンプには『前段ポンプ』が必要不可欠!理由も解説

出展元:アイアール技術者教育研究所

ターボ分子ポンプ単独では大気圧から直接排気できないため、適切な圧力環境を構築する前段ポンプが不可欠です。これによりターボ部の性能を最大限に引き出せます。

ここからは、ターボ分子ポンプには、前段ポンプが必要不可欠な主な理由について解説します。

以下で詳しく解説します。

ターボ分子ポンプは大気圧から排気できない

ターボ分子ポンプは、高速回転する羽根によって気体分子を輸送する原理で作動します。しかし、大気圧下では気体分子の密度が高いため、羽根が気体分子を効率的に輸送することができません。そのため、ターボ分子ポンプは、ある程度の真空状態下でのみ、その排気性能を発揮します。

したがって、ターボ分子ポンプを作動させるためには、まず前段ポンプを用いて系内を粗引きし、ターボ分子ポンプが動作可能な圧力領域まで減圧する必要があります。この粗引き工程を経て、ターボ分子ポンプは高真空状態を作り出すことができます。

適切な圧力環境を構築し、性能を安定化させる

ターボ分子ポンプの性能は、ポンプ内部の圧力環境に大きく依存します。ターボ分子ポンプが設計された性能、例えば排気速度や到達真空度などを十分に発揮するためには、適切な圧力環境下で使用することが不可欠です。

前段ポンプは、ターボ分子ポンプの排気側を適切な圧力に維持する役割も担っています。これにより、ターボ分子ポンプは安定した性能を維持し、効率的な排気を行うことができます。

もし、前段ポンプがない状態でターボ分子ポンプを使用すると、ポンプ内部の圧力が不安定になり、性能が低下したり、故障の原因となる可能性があります。したがって、安定した高真空環境を実現するためには、前段ポンプによる圧力制御が重要です。

前段ポンプが粗引き工程を担う

前段ポンプは、ターボ分子ポンプの動作において、粗引き工程を担います。ターボ分子ポンプは大気圧から直接排気できないため、動作開始前に系内を減圧する必要があり、この工程が粗引きです。

前段ポンプは、低い真空度領域で高い排気速度を持つポンプが用いられ、効率的に減圧するために使用されます。粗引き完了後、ターボ分子ポンプを作動させ高真空状態を得ることが可能です。

前段ポンプの選定はターボ分子ポンプの性能を引き出す上で重要です。したがって、ターボ分子ポンプの動作には前段ポンプが不可欠で、両ポンプの連携により高真空が実現されます。

はい、承知いたしました。与えられたh2の見出しについて、それぞれ300文字程度の解説文章を作成します。

一般的に用いられる前段ポンプは『ドライ真空ポンプ』

出典元:SHINKO SEIKI

ターボ分子ポンプシステムにおいて、前段ポンプは重要な役割を担っています。特に、近年では、ドライ真空ポンプが前段ポンプとして一般的に用いられるケースが増えています。

ドライ真空ポンプは、ポンプ内部で油などの作動油を使用しないタイプの真空ポンプであり、クリーンな真空環境が求められる様々な産業分野で採用されています。従来の油回転ポンプと比較して、ドライ真空ポンプは、排気中に油蒸気が混入するリスクが低く、メンテナンスの手間も少ないというメリットがあります

これらの特徴から、ドライ真空ポンプは、半導体製造、分析機器、医療機器など、高度な真空技術を必要とする分野において、ターボ分子ポンプと組み合わせて使用されることが多くなっています。

また、環境への配慮という観点からも、ドライ真空ポンプは、油を使用しないため、廃油処理の必要がなく、環境負荷を低減できるというメリットがあります。

ドライ真空ポンプのメリット

ドライ真空ポンプは、その名の通り、ポンプ内部で油などの作動油を使用しない真空ポンプであり、従来の油回転ポンプと比較して、多くのメリットがあります。

最大のメリットは、排気中に油蒸気が混入するリスクが低いことです。これにより、クリーンな真空環境が求められる用途において、製品の品質向上や歩留まり改善に貢献します。

また、油を使用しないため、定期的な油の交換や補充といったメンテナンスの手間が大幅に削減され、ランニングコストの低減にも繋がります。さらに、ドライ真空ポンプは、油回転ポンプに比べて振動や騒音が少ないという特徴もあります。これは、作業環境の改善に繋がり、オペレーターの負担軽減にも貢献するでしょう。

環境面においても、ドライ真空ポンプは、廃油処理の必要がないため、環境負荷を低減できるというメリットがあります。これらのメリットから、ドライ真空ポンプは、様々な産業分野で広く採用されています。

ターボ分子ポンプ+ドライ真空ポンプの併用がおすすめな理由

ターボ分子ポンプとドライ真空ポンプの組み合わせは、現代の真空技術において広く推奨されています。組み合わせることにより、様々な産業分野において、より高度で安定した真空環境を実現することが可能です。

ここからは、ターボ分子ポンプとドライ真空ポンプの併用がおすすめな理由について詳しく解説します。

以下で詳しく解説します。

クリーンな排気環境を維持できる

ターボ分子ポンプとドライ真空ポンプの併用が推奨される大きな理由のひとつは、クリーンな排気環境を維持できるという点です。ドライ真空ポンプは、ポンプ内部で油などの作動油を使用しないため、排気中に油蒸気が混入するリスクが極めて低いという特徴があります。この特徴は、半導体製造や分析機器など、高度な清浄度が求められる真空環境において特に重要です。

ターボ分子ポンプは高真空を得るために使用されますが、前段ポンプとしてドライ真空ポンプを使用することで、より清浄な真空環境を実現し、製品の品質向上や歩留まりの改善に貢献します。

高真空域まで効率的に到達できる

ターボ分子ポンプとドライ真空ポンプの組み合わせは、高真空領域まで効率的に到達できるというメリットも持っています。ターボ分子ポンプは、高真空領域で高い排気性能を発揮しますが、大気圧から直接動作することはできません。そのため、ドライ真空ポンプが粗引きポンプとして使用され、系内をターボ分子ポンプが動作可能な圧力まで減圧します。

ドライ真空ポンプは、比較的広い圧力範囲で安定した排気速度を持つため、効率的に粗引きを行うことが可能です。したがって、ターボ分子ポンプは速やかに高真空領域に到達し、所望の真空状態を迅速に実現することができます。

メンテナンス性と耐久性に優れる

ターボ分子ポンプとドライ真空ポンプの組み合わせは、メンテナンス性と耐久性に優れているという点も、推奨される理由として挙げられます。ドライ真空ポンプは、油を使用しないため、油回転ポンプのような定期的な油の交換や補充が不要であり、メンテナンスの手間を大幅に削減することができます。

また、ドライ真空ポンプは、シンプルな構造で設計されているものが多く、部品点数が少ないため、故障のリスクも低減することができます。ターボ分子ポンプも、適切な運転管理を行うことで、長期間にわたって安定した性能を維持することが可能です。

これらの特徴から、ターボ分子ポンプとドライ真空ポンプの組み合わせは、長期的に安定した真空環境を維持し、生産設備の稼働率向上に貢献します。

ターボ分子ポンプやドライ真空ポンプの導入は、信頼できるメーカーに頼もう

ターボ分子ポンプやドライ真空ポンプは、精密な真空環境を必要とする様々な産業分野で使用される重要な装置です。これらのポンプの選定、導入、そしてその後のメンテナンスは、システムの性能を最大限に引き出し、長期的に安定した稼働を維持するために、非常に重要な要素となります。したがって、これらのポンプの導入にあたっては、信頼できるメーカーに依頼することがおすすめです。

信頼できるメーカーは、豊富な経験と専門知識を有しており、顧客のニーズに最適な製品の選定から、適切な設置、試運転、そしてその後の保守・点検まで、トータルなサポートを提供することができます。

また、高品質な製品と充実したアフターサービスは、予期せぬトラブルによるダウンタイムを最小限に抑え、安定した生産活動を支える上で不可欠です。信頼できるメーカーを選ぶことは、長期的な視点で見れば、コストパフォーマンスの向上にも繋がる重要な投資といえるでしょう。

ドライ真空ポンプの導入でおすすめのメーカー3選

出典元:SHINKO SEIKI
出典元:ULVAC
出典元:樫山工業

ドライ真空ポンプ導入にあたり、性能やサポート体制を左右するメーカー選びは重要です。ここからは、信頼性とコストバランスに優れた3社をご紹介します。

それぞれの会社について、以下で詳しく解説します。

神港精機株式会社

出典元:神港精機株式会社

神港精機株式会社は、真空機器をはじめとする産業機械を製造する企業です。 真空技術を核として、様々な産業分野に製品とサービスを提供しています。

スクロールできます
項目詳細
会社名神港精機株式会社
設立昭和24年1月24日
住所神戸市西区高塚台3丁目1番35号
HPhttps://www.shinko-seiki.com/

神港精機株式会社の強みは、顧客の課題に対する丁寧なヒアリングと、それに基づいた最適なソリューションの提案です。長年培ってきた技術力とノウハウを活かし、高性能かつ高品質な製品を提供することで、顧客からの信頼を獲得しています。

ドライ真空ポンプの選定においては、使用環境や求める性能などを考慮し、最適な機種を提案してくれるでしょう。 また、導入後のサポート体制も充実しており、安心して利用できる点も魅力です。 高度な真空技術と手厚いサポートを求める企業にとって、神港精機株式会社は、信頼できるパートナーとなるはずです。

また、神港精機についてもっと気になる人は実際にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

また、以下の記事にて神港精機について書いているので、参考にしてみてください。

株式会社アルバック

出典:株式会社アルバック

株式会社アルバックは、真空技術およびその応用技術において、グローバルに事業を展開するリーディングカンパニーです。

項目詳細
会社名株式会社アルバック
会社住所神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地
創業年数昭和27年
公式サイトhttps://www.ulvac.co.jp/

株式会社アルバックは、真空装置、真空コンポーネント、材料、受託開発など、真空に関する広範なソリューションを提供しています。 半導体、電子部品、自動車、食品、医薬品など、多岐にわたる産業分野に貢献しており、その技術力は世界的に高く評価されています。

ドライ真空ポンプにおいても、株式会社アルバックは、最先端の技術を駆使した高性能な製品を提供しています。 これらのポンプは、高い排気性能と省エネルギー性を両立させており、持続可能な社会の実現にも貢献しています。

グローバルな視点での技術力とサポート体制を求める企業にとって、株式会社アルバックは、最適な選択肢のひとつとなるでしょう。

また、以下の記事ではアルバックの製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

樫山工業株式会社

出典:樫山工業株式会社

樫山工業株式会社は、真空ポンプの専門メーカーとして、長年にわたり産業界に貢献してきた企業です。 ドライ真空ポンプを中心に、様々な真空ポンプ製品を提供しており、一般産業から先端産業まで、幅広い分野で使用されています。

樫山工業株式会社のドライ真空ポンプは、そのコンパクトさと高い排気性能が特徴であり、設置場所を選ばない柔軟な対応が可能です。 また、環境への配慮も重視しており、省エネルギー性や低騒音性にも優れた製品を提供しています。

特定の分野で専門性の高い真空ポンプを求める企業や、環境性能を重視する企業にとって、樫山工業株式会社は、最適なソリューションを提供してくれるでしょう。

また、以下の記事では樫山工業の製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

まとめ

本記事では、ターボ分子ポンプの基礎知識や特徴、メリット・デメリット、ドライ真空ポンプとの併用メリットについて解説しました。

ターボ分子ポンプはオイルフリー構造で10⁻⁷Pa以下の高真空を迅速に実現し、クリーンかつ低振動での運転やコンパクト設計が強みです。一方で、高速回転に伴う振動対策や初期投資・電力コストの見積もりが重要となります。

ドライ真空ポンプを前段に組み合わせることで、バックストリーム汚染の防止や効率的な粗引き、メンテナンス間隔の延長が可能となり、安定した高真空環境を維持することが可能です。導入にあたっては用途に応じた前段ポンプ選定と信頼できるメーカー選びが成功のカギとなるでしょう。

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