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真空ポンプの用途別の選び方は?選ぶ際のポイントやおすすめ真空ポンプも解説

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真空ポンプの画像
出典元:神港精機株式会社

真空ポンプは半導体製造や医薬品加工、研究開発など幅広い現場で欠かせない装置ですが、用途に合わない機種を選ぶと性能不足やコストの増加につながってしまうので、注意が必要です。適切なモデルを選ぶためには、業界ごとの要求真空度や排気速度、メンテナンス性などを体系的に比較する視点が重要です。

そこで本記事は、用途別の真空ポンプの適正な選び方や選ぶ際の比較ポイント、注意点などについて解説しました。また、汎用性が高い『真空ポンプ』についても解説しています。真空ポンプの導入を検討されている方は、ぜひ本記事を読んで参考にしてみてください。

さらに、ドライポンプを取り扱うメーカーもご紹介しますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

【用途別】真空ポンプの適正な選び方!理由も解説

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真空ポンプを選定する際には、用途ごとに求められる性能や仕様が異なります。どの現場で、どのような目的で使用するのかを明確にすることで、適切な機種の選定が可能となります。

ここでは、代表的な3つの用途に応じた真空ポンプの構成例を紹介します。

以下では、それぞれの用途に適したポンプ構成の理由について、具体的に解説していきます。

半導体・電子部品製造には『ドライ真空ポンプ+ターボ分子ポンプ』

半導体製造や電子部品の生産では、クリーンな真空環境が必要とされます。『ドライ真空ポンプ』はオイルを使用せず、排気経路に油分を含まないため、製品に汚染を与えるリスクが極めて低いことが特徴です。

さらに『ターボ分子ポンプ』を組み合わせることで、超高真空領域までの到達が可能になります。この組み合わせにより、微細加工や薄膜形成といった工程でも、安定したプロセス環境を維持することができます。

医薬品・食品分野には『ドライ真空ポンプ』

医薬品や食品の製造工程では、衛生的で清潔な環境の維持が重要です。『ドライ真空ポンプ』は潤滑油を使用しないため、オイルミストによる製品への混入リスクがなく、クリーンルームなどでも安心して使用できます。

また、粉体の乾燥や減圧濃縮といった処理にも対応しており、洗浄や分解整備の容易さから衛生管理の観点でも優れています。したがって、これらの分野ではドライタイプの採用が一般的となっています。

分析・研究用途には『ターボ分子ポンプ+前段ポンプ』

分析装置や研究用の実験設備では、安定した高真空環境が求められます。『ターボ分子ポンプ』は分子レベルの排気が可能であり、質量分析計や電子顕微鏡などで使用される高精度な装置には欠かせません。

その前段として、粗排気を担う『前段ポンプ』を組み合わせることで、効率よく真空を生成できます。この構成は、短時間で所定の真空度に到達できる点でも有効であり、実験の精度や再現性にも寄与します。

真空ポンプを選ぶ際に比較すべき主なポイント

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真空ポンプは用途だけでなく、導入後の運用効率や経済性も考慮して選ぶ必要があります。特に業務用で長期的に使用する場合は、維持管理のしやすさやコストも選定基準のひとつになります。

以下では、選定時に重視すべき主な3つの比較ポイントを紹介します。

このあと、それぞれの比較ポイントについて詳しく解説していきます。

使用環境と用途への適合性

真空ポンプを導入する際には、使用する環境や用途との適合性を慎重に確認することが大切です。たとえば、粉塵や水蒸気が多い場所であれば、耐環境性に優れた設計が求められます。

また、クリーンルームや食品加工現場のように衛生管理が重要な環境では、ドライタイプのポンプが選ばれる傾向にあります。したがって、ポンプの機能だけでなく、設置環境との相性も確認しておくことが重要です。

メンテナンス性と運転コスト

真空ポンプの運用では、メンテナンスの頻度や部品交換のしやすさ、そして運転時にかかる電力や冷却装置のコストも考慮するべきです。特に連続運転が前提となる用途では、ダウンタイムを最小限に抑えることが求められます。

オイル式のポンプは定期的なオイル交換やフィルター清掃が必要になる一方で、ドライタイプはメンテナンス性に優れており、長期間の安定稼働が可能です。トータルコストの比較が判断材料となります。

排気性能(排気速度・到達真空度)

真空ポンプの性能を比較する上で基本となるのが、排気速度と到達真空度です。排気速度は作業効率に直結し、処理速度が求められる現場では高排気能力が必要になります。一方、到達真空度はプロセスの精度や製品品質に影響を与えるため、用途に応じて求められる数値が異なります。

たとえば、電子顕微鏡などでは超高真空が求められますが、脱気処理程度であれば中真空でも十分です。性能指標を正確に把握して選定することが大切です。

全てに適しているのは『ドライ真空ポンプ』

ドライ真空ポンプの画像
出典元:SHINKO SEIKI

ドライ真空ポンプは、潤滑油を使用しない構造により、排気中にオイルミストが発生せず、装置や製品の汚染を防げるため、クリーンな環境が求められる半導体製造や医薬品・食品分野で高く評価されています。

また、オイル交換やフィルター清掃といった定期的なメンテナンスが不要な点から、運用コストを抑えやすく、稼働効率の面でも優れています。さらに、湿気や粉塵の多い場所でも使用可能な耐久性を備えた機種も存在し、実験設備や分析機器との組み合わせにも適していることも魅力のひとつです。

環境負荷の低減や作業者の安全確保にもつながるため、さまざまな現場で導入が進んでいます。したがって、ドライ真空ポンプは多様な産業用途に対応できる、非常に汎用性の高いポンプです。

ドライ真空ポンプはなぜ選ばれる?メリットを解説

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真空ポンプの中でも、ドライ真空ポンプは多くの分野で採用されており、その導入理由には明確な技術的根拠があります。構造的な特徴や運用時のメリットにより、安定した真空環境を求める現場で高い評価を受けています。

ここでは、ドライ真空ポンプが選ばれる主なメリットを3つに分けて解説します。

以下で詳しく解説します。

オイルを使わないため排気がクリーン

ドライ真空ポンプの最大の特徴は、潤滑油を使用せずに真空を生成する構造にあります。これにより、排気にオイルミストや不純物が含まれることがなく、クリーンな環境が求められる用途に最適です。

たとえば、半導体製造や医薬品の加工工程では、微量な油分の混入が製品不良や歩留まり低下につながる可能性があります。その点、ドライタイプであれば排気経路が汚染されず、製造プロセスの品質を保つことが可能です。

実際に、多くのクリーンルームや衛生管理が厳しい現場で採用されており、その効果が実証されています。

メンテナンスが少なく、運用コストを抑えられる

ドライ真空ポンプは、オイル交換やフィルター清掃といった定期的なメンテナンスが不要な構造であるため、保守作業にかかる手間やコストを大幅に削減することができます。

従来のオイル式ポンプでは、数ヶ月ごとに潤滑油の交換が必要であり、作業時間や廃油処理に伴うコストが発生していました。これに対し、ドライタイプは非接触式の動作を基本としており、長期間の連続運転にも対応可能です。

結果として、ダウンタイムの削減や人件費の軽減にもつながり、トータルでの運用効率が向上します。業務用設備ではこの点が導入の大きな決め手となっています。

広い用途に対応しやすい汎用性の高さ

ドライ真空ポンプは、構造のシンプルさと高い清浄性から、さまざまな産業分野での使用が可能です。たとえば、電子部品の製造、医薬品の乾燥、食品の減圧包装、分析装置の真空排気など、多様な現場に対応しています。

また、耐湿性や耐食性に優れたモデルもあり、環境条件に左右されにくいというメリットもあります。これにより、特定の用途に限らず、複数工程や多目的の設備にも柔軟に導入できるため、設備の共通化や在庫管理の簡略化にもつながります。

以上の理由から、ドライ真空ポンプは高い汎用性を誇る選択肢とされています。

ドライ真空ポンプを導入する際の注意点

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ドライ真空ポンプは多くのメリットを持つ装置ですが、導入時にはいくつかの重要な確認事項があります。使用目的に適した選定を行わないと、運用コストの増加や装置トラブルの原因になることもあるため、事前のチェックは不可欠です。

ここでは、導入前に検討すべき3つの注意点について解説します。

以下に、それぞれの注意点について詳しく説明していきます。

ランニングコストとメンテナンス頻度を把握する

ドライ真空ポンプはオイル交換が不要でメンテナンス性に優れていますが、完全にメンテナンスフリーではありません。機種によっては定期的な清掃や部品交換が必要であり、それにかかる費用や作業時間を考慮する必要があります。

また、長時間の連続運転が前提の現場では、部品の摩耗や異常の早期発見が重要です。導入時には、カタログ上の性能だけでなく、年間の保守計画や運用コストの見積もりを確認し、継続的なコストを明確にすることが求められます。

設置環境と装置仕様の適合性を確認する

ドライ真空ポンプは多用途に対応できる装置ですが、設置環境に適合しないと本来の性能を発揮できません。たとえば、高温多湿や粉塵が多い環境では、故障や性能劣化のリスクが高まるため、使用条件に合ったモデルの選定が不可欠です。

また、必要とする真空度や排気速度が装置の仕様と一致しているかも確認すべきです。事前に設置場所の環境条件と作業要件を洗い出し、カタログスペックと照らし合わせて適切な選定を行うことが重要です。

実績豊富で信頼できるメーカーを選ぶ

真空ポンプの導入では、性能だけでなくメーカーの信頼性も大きな判断基準になります。導入後の保守対応や技術サポート体制が不十分であれば、トラブル発生時の対応が遅れ、生産ラインに影響を及ぼす可能性があります。

信頼できるメーカーであれば、過去の導入実績や技術資料の提供が充実しており、万が一の不具合にも迅速に対応できます。製品仕様だけでなく、サポート体制や納入後のフォローも含めて比較検討することが重要です。

信頼できるドライ真空ポンプメーカーの選び方

会社の画像

ドライ真空ポンプを長期的かつ安定して運用するためには、製品選定と同様にメーカー選びも非常に重要です。導入後の保守体制や技術支援の充実度によって、生産性や設備の稼働率に大きな差が生まれます。

ここでは、信頼できるメーカーを見極めるためのポイントを3つに絞って紹介します。

以下に、それぞれのポイントについて具体的に解説します。

自社の用途や業界に精通している実績があるか

真空ポンプは用途によって求められる性能が大きく異なります。たとえば、半導体製造では超高真空とクリーン性が求められ、医薬品製造では衛生基準に適合する装置が必要です。したがって、導入先の業界やプロセスに精通したメーカーであるかを確認することが重要です。

過去に同様の業界での納入実績があるか、具体的な導入事例を示しているかなどの情報を確認することで、現場の要件に合った技術提案が期待できます。業界経験が豊富なメーカーは、現場で発生しやすい課題にも迅速かつ的確に対応できる可能性が高いです。

アフターサービス体制が整っているか

ドライ真空ポンプは長期間の運転が想定されるため、故障時やトラブル発生時の迅速な対応が求められます。そのため、全国対応のサービス網が整っているか、定期点検や緊急対応などのアフターサービスが充実しているかを事前に確認することが重要です。

また、技術スタッフの訪問対応の有無や、保守部品の供給体制も見極めるポイントになります。アフターサポートが万全なメーカーであれば、装置の長寿命化や安定稼働につながり、結果としてトータルコストの削減にも寄与します。製品選定だけでなく、運用面まで視野に入れた検討が必要です。

製品の性能試験データを公表しているか

真空ポンプの性能は、カタログに記載された仕様だけで判断するのではなく、第三者による試験やメーカー自身の実測データの有無を確認することが重要です。信頼性の高いメーカーは、排気速度や到達真空度、騒音レベルなどの性能データを詳細に公開しており、導入前に仕様との整合性を検証できます。

特に、同じ性能をうたう製品でも、実使用時の挙動に差が出るケースもあるため、実測値の確認は重要です。公開された試験データがあることで、購入前に客観的な根拠をもって機種選定が可能となり、導入後のミスマッチを防ぐことができます。

ドライ真空ポンプの導入でおすすめのメーカー3選

SHINKO SEIKIのロゴ
出典元:SHINKO SEIKI
ULVACのロゴ
出典元:ULVAC
樫山工業のロゴ
出典元:樫山工業

ドライ真空ポンプを導入する際には、信頼できるメーカーの選定が重要です。ポンプの性能やアフターサポートが直接的な生産性や運用コストに影響を与えるため、慎重に選ぶ必要があります。

ここでは、ドライ真空ポンプで高い評価を受けている3つのメーカーを紹介します。

以下では、それぞれのメーカーの特徴と強みを詳しく解説します。

神港精機株式会社

出典元:神港精機株式会社

神港精機株式会社は、真空技術において長年の実績を誇る日本のメーカーであり、特にドライ真空ポンプの分野では広範な導入実績を持っています。

スクロールできます
項目詳細
会社名神港精機株式会社
設立昭和24年1月24日
住所神戸市西区高塚台3丁目1番35号
HPhttps://www.shinko-seiki.com/

神港精機株式会社の製品は、オイルレスで環境に優しい設計が特徴で、特にクリーン環境が求められる半導体製造や医薬品分野で高い評価を受けています。加えて、神港精機は真空技術に関する独自のノウハウを持ち、顧客のニーズに応じたカスタマイズ対応にも柔軟に対応しています。

また、神港精機は長年の技術革新を通じて、安定した性能を維持しており、ユーザーの負担を軽減します。さらに、アフターサービスにも定評があり、全国にサービス拠点を持ち、迅速な対応を行っていることが強みです。

これにより、長期にわたる安定稼働が可能です。現場における運用の課題にも積極的に取り組み、最適な解決策を提供している点が顧客から信頼されている企業です。

また、神港精機についてもっと気になる人は実際にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

また、以下の記事にて神港精機について書いているので、参考にしてみてください。

株式会社アルバック

出典:株式会社アルバック

株式会社アルバックは、真空ポンプの分野では世界的にも知られた企業であり、特に高度な技術と品質で有名です。

項目詳細
会社名株式会社アルバック
会社住所神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地
創業年数昭和27年
公式サイトhttps://www.ulvac.co.jp/

株式会社アルバックのドライ真空ポンプは、特に半導体業界や研究開発分野での需要に対応した高精度な製品が揃っています。特に排気速度や到達真空度に優れ、厳しい環境下でも安定して運転可能な点が特徴です。

また、株式会社アルバックは長年の研究開発による革新技術を導入しており、その製品は高効率かつ低エネルギー消費を実現しています。また、環境負荷を低減するために最新の技術を積極的に取り入れ、省エネ性の高い真空ポンプを提供していることも強みのひとつです。

高い信頼性を持ち、世界中での導入実績が証明する通り、品質面での安心感があります。さらに、グローバルなアフターサポート体制も強みとなっており、海外の顧客にも対応可能なサービスを提供しています。製品だけでなく、サポート体制の充実も大きな魅力です。

また、以下の記事ではアルバックの製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

樫山工業株式会社

出典:樫山工業株式会社

樫山工業株式会社は、日本国内において長い歴史を持つ企業で、ドライ真空ポンプの製造においても確かな実績があります。特に、機械設計において優れた技術力を有しており、耐久性と信頼性が高い製品を提供しています。

項目詳細
会社名樫山工業株式会社
会社住所長野県佐久市根々井1-1
創業年数昭和26年
公式サイトhttps://www.kashiyama.com/

樫山工業株式会社のポンプは、様々な産業に対応した多様なモデルがあり、特に機械や電子機器の製造、金属加工などで高い評価を得ています。ドライ真空ポンプは、使用環境に合わせたカスタマイズも可能で、現場ごとのニーズに応じた最適な提案ができる点が魅力です。

特に、低メンテナンスで高効率な運転が可能なため、製造業の生産ラインにおいて重要な役割を果たしています。アフターサポートも充実しており、保守や点検サービスが手厚く、長期間の安定した運用をサポートしています。

樫山工業株式会社は、顧客の声を反映させた製品開発に力を入れており、常に新しい技術の採用と改良を進めています。

また、以下の記事では樫山工業の製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

まとめ

本記事では、真空ポンプの用途別選び方や比較ポイント、導入時の注意点、信頼できるメーカー情報について解説しました。適切な真空ポンプを選定するためには、使用環境や用途に応じた性能、運用コスト、アフターサービス体制などを総合的に判断することが重要です。

特にドライ真空ポンプは、清浄性・低メンテナンス・高汎用性といった多くのメリットを備え、幅広い業界で導入が進んでいます。導入を検討する際は、ぜひ本記事を参考に、最適な選定を行ってください。導入後の運用やサポート体制まで見据えた判断が、長期的な設備の安定稼働とコスト削減につながるでしょう。

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