近年、油潤滑式ポンプに代わり、油を一切使用せず、真空の性質を利用するドライポンプが各業界で注目されています。ただ、ドライポンプといっても多くの型があり、それぞれの型によって長所や短所が異なります。
例えば、スクリュー型やダイアフラム型、ルーツ型が挙げられます。そこで、今回はスクリュー型ドライポンプに絞って解説していきます。
そのスクリュー型ドライポンプには、どのような仕組みや特徴があるのか。また、どのような用途で使われるのかを紹介します。
合わせて、ドライポンプの選び方やおすすめのメーカーも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
スクリュー型ドライポンプの特徴3選
スクリュー型ドライポンプには、3つの特徴があります。
以上のような長所を挙げたのでそれぞれ見ていきましょう。
①騒音や振動が少なくコンパクトな設計
騒音や振動が少ないことは、機械を扱う工場にとって、近隣住民に迷惑をかけることなく、製品開発を行うことができます。また、振動が少ないことはドライポンプの機械に負担をかけることもありません。
そのため、機械の取替えやメンテナンスも最低限に抑えることが可能です。また、スクリュー型ドライポンプはコンパクトな設計の製品も存在します。
コンパクトな設計をしていることで、工場に配置する際のスペースを取らず、持ち運び等も容易に行うことができます。
②耐摩耗性が優れているため、メンテナンスが容易
スクリュー型ドライポンプの2つ目の長所は、耐摩耗性が優れているため、メンテナンスが容易なことです。
スクリュー型ドライポンプはローターが回転をしているため、回転によって、ケーシングを傷つけるとポンプが機能しなくなります。そのため、ローターやケーシングが、回転の摩擦にも耐えられるような構造になっており、機械の寿命が非常に長くなります。
また、スクリュー型は他のドライポンプに比べ比較的シンプルな構造をしています。そのため、部品交換やメンテナンスが容易であると同時に、ランニングコストも抑えられます。
③高真空から大気圧などの圧力に対応している
スクリュー型ドライポンプの3つ目の特徴は、高真空から大気圧などの圧力に対応していることです。
スクリュー型ドライポンプは、大気圧から高真空まで幅広い圧力範囲に対応可能で、多様なプロセスでの使用に適しています。この特性により、製造工程や研究開発など、さまざまな分野で活用されています。
さらに、圧力変動が少なく、安定した排気性能を持つため、高い精度が求められる工程でも信頼性の高い運用が可能です。これらの特徴は、効率性と精度を両立させたい現場で大きなメリットとなります。
スクリュー型ドライポンプの用途3選
スクリュー型ドライポンプの用途は主に3つあります。
以上の3 つの用途について詳しく解説していきます。
1.半導体製造業
最初に紹介するスクリュー型ドライポンプの用途は半導体製造業です。半導体製造業では、主に半導体製造の工程において使用します。
半導体製造の工程では、半導体基板を化学薬品で削り出す際のガスを排出したり、薄膜を形成する工程の真空ポンプとして使います。半導体製造業がスクリュー型ドライポンプを取り扱うことに適しているのは、次の2つの理由が挙げられます。
1つ目は、化学薬品で発生したガスを排気する必要があるからです。化学薬品で発生したガスを排気するには、スクリュー型ドライポンプを使用する必要があります。
2つ目は、耐腐食性があるからです。化学薬品を使うため、耐腐食性のコーティングを施す必要があり、スクリュー型ドライポンプにはそれが施されています。
つまり、スクリュー型ドライポンプは、半導体製造において欠かせない製品です。
2.リチウム電池製造業
スクリュー型ドライポンプを取り扱う2つ目の用途は、リチウム電池製造業です。こちらは主にリチウム電池の製造に使われます。
具体的なリチウム電池製造では、リチウム電池のセル形成や電極脱ガスの吸引等に使用されます。その他にも、電極乾燥のプロセスや電解液の充填で、スクリュー型ドライポンプを使用します。
スクリュー型ドライポンプが適している理由としては、次の2つが挙げられます。
1つ目はリチウム電池製造には高い真空度が求められることです。スクリュー型ドライポンプは電極やセパレータの乾燥、電解液中のガスの除去を行うため高い真空度が実現できます。
2つ目は、電極やセパレータ部分を短時間で乾燥させないといけないため、大流量の排気が必要だからです。スクリュー型ドライポンプは大流量の排気が可能なため、生産性の向上に貢献します。
つまり、リチウム電池製造業において、スクリュー型ドライポンプは必要不可欠です。
3.液晶パネル製造業
次の業界は液晶パネル製造業です。液晶パネル製造業では主に液晶パネル製造の工程に使われています。
液晶パネル製造において、スクリュー型ドライポンプが適しているのには次の理由が2つ挙げられます。
1つ目は、高い真空度が実現できるからです。この高真空度によって、薄膜の形成や異物混入防止の役割を果たします。
2つ目は、スクリュー型ドライポンプが耐腐食性に優れているからです。スクリュー型ドライポンプは液晶パネル製造の工程において、様々な化学物質が使われます。その化学物質にさらされても、性能が低下しにくくなります。
つまり、液晶パネル製造の工程において、スクリュー型ドライポンプは必要不可欠です。
ドライポンプメーカーを選ぶときのポイント3選
スクリュー型ドライ真空ポンプについて、その特徴や長所をご紹介してきましたが、設備導入時には信頼できるメーカーの選定が不可欠です。
なぜなら、スクリューローターの加工精度や表面処理技術は各社で異なり、これらは真空性能や耐久性に大きく影響を与えるためです。また、導入後のアフターサポートの充実度は、ローターの摩耗状態の確認や適切な予防保全といった維持管理の質に直結するでしょう。
そこで、あなたに最適なドライポンプメーカーを選定いただくためのポイントをご説明します。
1.複数のメーカーを比較検討する
各メーカーが提供するカタログやウェブサイトを確認し、それぞれの製品の特長や性能、価格帯を比較することで、自分のニーズに最も合った製品を選べます。
例えば、圧力範囲、排気速度、エネルギー効率、メンテナンスのしやすさ、さらには騒音や熱の発生量といったポイントがメーカーごとに異なるため、用途や設置環境に合うかどうかを慎重に検討しましょう。また、メーカーのサポート体制や保証内容も重要です。
複数の選択肢を比較することで、製品の強みと弱みが明確になり、長期的にコストパフォーマンスの良い選択ができるでしょう。信頼できるメーカーや代理店に相談するのもおすすめです。
2.実績と信頼のある会社か
メーカーや製品の実績と信頼性を確認することは重要です。まず、業界での実績を調べましょう。製品が長期間にわたり広く使用されている場合、それは技術力や製品品質の高さを裏付けるものといえます。
また、アフターサービスが充実しているかどうかも重要なポイントです。万が一故障した場合の対応スピードや、定期的なメンテナンスの提供体制が整っているメーカーを選ぶことで、安心して使用を続けることができます。信頼性の高いメーカーは、トータルでのコストパフォーマンスにも優れているでしょう。
3.価格とメンテナンスが見合っているか
初期費用では、ポンプ本体の価格だけでなく、設置工事や付属装置の導入にかかる費用も含めて検討しましょう。さらに、ランニングコストも見逃せません。
電力消費量や、定期的なメンテナンスに必要な部品交換費用など、長期的なコストを考慮することで、総合的なコストパフォーマンスを判断できます。導入後のトラブル対応や、運用中の技術的な質問に迅速に対応できる体制が整っているかを確認することが大切です。
また、特殊な用途や環境に合わせたカスタム対応が可能なメーカーは、より柔軟にニーズに応えてくれるでしょう。
ドライ真空ポンプなら神港精機株式会社がおすすめ

項目 | 詳細 |
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会社名 | 神港精機株式会社 |
設立年月日 | 1949年1月24日 |
住所 | 神戸市西区高塚台3丁目1番35号 |
HP | https://www.shinko-seiki.com/ |
神港精機は、真空ポンプをはじめとする様々な産業用機器の製造と販売を行っている日本のメーカーです。
例えば、スクリュー型ドライポンプの開発を筆頭に、薄膜形成装置やプラズマ処理装置という製品も開発しています。このような多数の技術開発の背景には、会社が創業してから75年で培った実績と経験の歴史が生かされています。
ドライ真空ポンプにおいて、これまで凝縮性ガスや粉体等を吸引するハードプロセスが極めて困難とされていました。しかし、同社では安定した運転を可能にするスクリュー型ドライ真空ポンプ『SST・SSXシリーズ』の開発に成功しています。
同社は、顧客のニーズに応えるだけでなく、常に新しい価値を提供し続ける企業としての信頼を築いてきました。そのため、産業用機器の分野で欠かせない存在となっています。
また、以下の記事にてドライ真空ポンプのおすすめの会社も書いているので、参考にしてみてください。
まとめ
今回はスクリュー型ドライポンプについて紹介しました。
スクリュー型ドライポンプは騒音や振動数が少なく、コンパクトな設計の為、近隣や配置する場所に困ることはありません。また、メンテナンスが容易なことはランニングコストを抑えることは大きな特徴です。
また、ドライポンプメーカーを選ぶときのポイントやおすすめのメーカーも紹介させていただきました。
神港精機は、ドライポンプの開発に長い歴史を持ち、凝固性ガスや粉体という長年スクリュー型ドライポンプが不向きとされていた液体や気体にも対応しています。また、各業界に適したドライポンプを開発しているのがアルバック、大晃機械工業株式会社です。
本記事を参考にしながら、ぜひ貴社の用途に合ったメーカーや製品をお選びいただき、より良い成果の実現にお役立ていただければ幸いです。