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スクロール型ドライ真空ポンプとは?その仕組みと特徴から用途まで解説

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近年、ドライポンプが従来の油潤滑式ポンプに代わって注目されています。ドライポンプはオイルフリーで、真空の性質を利用するため、油などの異物が混入するのを防ぐからです。

そのようなドライポンプにも複数の型が存在します。例えば、スクリュー型やルーツ型、ダイアフラム型などです。

そこで、今回はスクロール型ドライ真空ポンプに絞って解説していきます。スクロール型ドライ真空ポンプはどのような仕組みでできているのか。また、スクロール型ドライ真空ポンプの特徴や用途はあるのか解説していきます。

合わせて、ドライポンプメーカーの選び方やおすすめのメーカーも紹介するので、導入に迷っている方は参考にしてみてください。

目次

スクロール型ドライ真空ポンプとは?

スクロール型ドライ真空ポンプは、油を使わずに気体を排出するドライポンプの一種で、スクロール構造を用いて効率的な真空環境の生成が可能な装置です。

出典元:アルバック機工株式会社

スクロール型ドライ真空ポンプは固定されたスクロールと、軌道運動するもう一方のスクロールを組み合わせることで、気体を圧縮・排出します。

回転するスクロールが固定スクロールの内側で移動する際、内部に徐々に小さくなる封じ込め空間が生じ、そこに外部から取り込まれた気体が圧縮され、最終的に中央部の排気口から排出されます。

スクロールポンプは、スクリュー型やルーツ型など他のドライポンプと異なり、連続的かつなめらかな圧縮が可能で、振動や騒音が比較的少ないことが特徴です。

スクロール型ドライポンプの長所3選

スクロール型ドライ真空ポンプは取り扱う上で、長所が3つ挙げられます。以下の3つがスクロール型ドライ真空ポンプの長所になります。

  1. 騒音や振動が少なくコンパクトな設計
  2. 他の型よりも安価で手に入れることができる
  3. セルフメンテナンスができる

以上の3つについて詳しく見ていきましょう。

①騒音や振動が少なくコンパクトな設計

機械を扱う工場では、騒音や振動が少ないことで、近隣住民に迷惑をかけることなく、工場の生産活動を円滑に行うことができます。また、振動が少ないため、ドライポンプ自体への負担も軽減され、機械の交換やメンテナンスを最小限に抑えることが可能です。

さらに、スクロール型ドライポンプにはコンパクトな設計の製品もあるため、工場内での設置スペースを節約でき、持ち運びなども容易に行うことができます。

②他の型より安価で手に入れることができる

スクロール型ドライ真空ポンプは、一般的にスクリュー型やルーツ型などの他のドライポンプと比較すると、コンパクトなサイズとシンプルな構造のため、比較的安価な価格帯で手に入れやすい傾向があります。

たとえば、スクリュー型の高性能モデルは数千万円する場合もありますが、スクロール型は小型でシンプルなモデルなら数十万円程度、高性能なものでも数百万円に抑えられることが多いです。

価格は、排気量や到達真空度、使用する材質の耐熱・耐腐食性といった仕様によって上下するため、選定時は用途や要求性能に合わせて比較検討することが重要です。

③セルフメンテナンスができる

3つ目の特徴はセルフメンテナンスができる点です。スクロール型ドライ真空ポンプは、構造が複雑ではないため、自分でメンテナンスを行うことができます。

例えば、ポンプ本体や配管の清掃、フィルターが詰まっていないかの点検です。スクロール型ドライ真空ポンプはオイルを使わないため、長持ちですが、セルフメンテナンスでより長持ちすることができます。

また、セルフメンテナンスをすることによって、ドライポンプが長持ちするので、専門の業者を呼ぶ回数も減ります。業者を呼ぶことが減ることで、メンテナンス費用のコストカットにも繋がるでしょう。

スクロール型ドライポンプの用途3選

スクロール型ドライポンプの用途は主に3つ存在します。3つの用途となぜその用途に適しているのかを解説していきます。

  1. 半導体製造業
  2. 分析機器メーカー
  3. ディスプレイ製造業

以上の3つについて見ていきましょう。

①半導体製造業

1つ目に紹介する用途は、半導体製造業です。こちらは主に半導体製造の工程に使用します。

スクロール型ドライポンプは、半導体基板を化学薬品で削り出す際のガスを排出したり、薄膜を形成する工程に使用します。半導体製造業がスクロール型ドライ真空ポンプを取り扱うことに適しているのは2つの理由が挙げられます。

1つ目は、オイルを使用しないため、クリーンな真空状態を作れるからです。半導体を製造する工程で、オイルの混入や微粒子の混入は製品に悪い影響を与えます。その混入を未然に防ぐためにも、クリーンな真空状態を作ることは非常に重要です。

2つ目は、シンプルな構造で、静音性が高いからです。まず、シンプルな構造のため、メンテナンスが容易なことから、故障しにくく、長持ちします。また、静音性が高いため、周囲の環境に悪影響を与えることなく、作業の効率化を図ることができます。

つまり、半導体製造業において、スクロール型ドライポンプは必要不可欠です。

②分析機器メーカー

2つ目に紹介するのは、分析機器メーカーです。主に分析機器の性能を大きく向上させる役割として使います。

ガスクロマトグラフィーや質量分析計などの分析機器にスクロール型ドライ真空ポンプが使われる理由は次の2つです。

1つ目は、装置の一体化ができるからです。スクロール型ドライ真空ポンプは非常に小型のため、分析装置と一体化することができます。そのため、装置全体の性能向上や操作が容易になります。

2つ目は、カスタマイズが容易だからです。スクロール型ドライ真空ポンプの材質やスクロール部分を用途に合わせてカスタマイズできます。

つまり、スクロール型ドライポンプは分析機器メーカーにとって、より高度な分析を可能にします。

③ディスプレイ製造業

3つ目に紹介するのは、ディスプレイ製造業です。こちらは主に、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの製造工程に使います。

スクロール型ドライポンプは、真空移送の際、ディスプレイに微粒子が付くことを防止します。また、スパッタリングの際は、薄膜を形成する工程で発生するガスを排出します。

スクロール型ドライ真空ポンプがディスプレイ製造業に適している理由は次の2つです。

1つ目は、オイルフリーで、メンテナンスが容易なことです。オイルを使わないため、オイル混入がなく、クリーンな真空状態が作れるうえ、オイル交換も不要になります。また、ポンプを清掃するメンテナンスを行うだけで、微粒子が混入する可能性を減らすこともできます。

2つ目は、静音性があるからです。スクロール型ドライ真空ポンプは小型で振動や騒音が少ない特徴があります。そのため、周囲の環境に悪影響を与えにくくなっています。

つまり、スクロール型ドライポンプはディスプレイ製造業にとって欠かせない製品です。

ドライポンプメーカーの選ぶときのポイント3選

スクロール型ドライ真空ポンプについて、その特徴や長所をご紹介してきましたが、実際の導入に際しては信頼できるメーカーを選ぶことが重要です。なぜなら、真空ポンプは製造工程において重要な役割を果たす設備であり、故障や性能低下は生産ラインの停止につながりかねないためです。

また、導入後の保守・メンテナンスサポートの質も、長期的な運用コストに大きく影響します。

そこで、あなたに最適なドライポンプメーカーを選定いただくためのポイントを3つにまとめて解説します。

  1. 複数のメーカーを比較検討する
  2. 実績と信頼のある会社か
  3. 価格とメンテナンスが見合っているか

1.複数のメーカーを比較検討する

各メーカーが提供するカタログやウェブサイトを確認し、それぞれの製品の特長や性能、価格帯を比較することで、自分のニーズに最も合った製品を選べます。

例えば、圧力範囲、排気速度、エネルギー効率、メンテナンスのしやすさ、さらには騒音や熱の発生量といったポイントがメーカーごとに異なるため、用途や設置環境に合うかどうかを慎重に検討しましょう。また、メーカーのサポート体制や保証内容も重要です。

複数の選択肢を比較することで、製品の強みと弱みが明確になり、長期的にコストパフォーマンスの良い選択ができるでしょう。信頼できるメーカーや代理店に相談するのもおすすめです。

2.実績と信頼のある会社か

メーカーや製品の実績と信頼性を確認することは重要です。まず、業界での実績を調べましょう。製品が長期間にわたり広く使用されている場合、それは技術力や製品品質の高さを裏付けるものといえます。

また、アフターサービスが充実しているかどうかも重要なポイントです。万が一故障した場合の対応スピードや、定期的なメンテナンスの提供体制が整っているメーカーを選ぶことで、安心して使用を続けることができます。

信頼性の高いメーカーは、トータルでのコストパフォーマンスにも優れているでしょう。

3.価格とメンテナンスが見合っているか

 初期費用では、ポンプ本体の価格だけでなく、設置工事や付属装置の導入にかかる費用も含めて検討しましょう。さらに、ランニングコストも見逃せません。

電力消費量や、定期的なメンテナンスに必要な部品交換費用など、長期的なコストを考慮することで、総合的なコストパフォーマンスを判断できます。導入後のトラブル対応や、運用中の技術的な質問に迅速に対応できる体制が整っているかを確認することが大切です。

また、特殊な用途や環境に合わせたカスタム対応が可能なメーカーは、より柔軟にニーズに応えてくれるでしょう。

ドライ真空ポンプなら神港精機株式会社がおすすめ

出典元:神港精機株式会社
スクロールできます
項目詳細
会社名神港精機株式会社
設立年月日1949年1月24日
資本金3億7500万円
住所神戸市西区高塚台3丁目1番35号
HPhttps://www.shinko-seiki.com/

神港精機は、真空ポンプをはじめとする様々な産業用機器の製造と販売を行っている日本のメーカーです。

例えば、スクリュー型ドライポンプの開発を筆頭に、薄膜形成装置やプラズマ処理装置という製品も開発しています。このような多数の技術開発の背景には、会社が創業してから75年で培った実績と経験の歴史が生かされています。

ドライ真空ポンプにおいて、これまで凝縮性ガスや粉体等を吸引するハードプロセスが極めて困難とされていました。しかし、神港精機では安定した運転を可能にするスクリュー型ドライ真空ポンプ『SST・SSXシリーズ』の開発に成功しています。

同社は、顧客のニーズに応えるだけでなく、常に新しい価値を提供し続ける企業としての信頼を築いてきました。そのため、産業用機器の分野で欠かせない存在となっています。

また、以下の記事にてドライ真空ポンプのおすすめの会社も書いているので、参考にしてみてください。

まとめ

今回はスクロール型ドライ真空ポンプについて紹介しました。

スクロール型ドライ真空ポンプは、他の型式に比べて振動や騒音が低く、さらにコンパクトな設計でスペースも節約できます。また、メンテナンスの容易さとコンパクトな設計によりコスト面を抑えることができるのは、大きな特徴です。

また、スクロール型ドライ真空ポンプを取り扱う用途やドライポンプの選び方、おすすめのドライポンプメーカーも紹介しました。神港精機は、ドライポンプの開発に長い歴史を持ち、凝固性ガスや粉体というドライポンプが不向きとされていた液体や気体にも対応しています。

本記事を参考にしながら、ぜひ貴社の用途に合ったメーカーや製品をお選びいただき、より良い成果の実現にお役立ていただければ幸いです。

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