油回転真空ポンプにはどんな特徴があるの?
油回転真空ポンプのメリット・デメリットを知りたい
このように、油回転真空ポンプについて詳しく知りたいと思っている方は、多いのではないでしょうか。油回転真空ポンプは油を回転させて真空状態を作り出す真空ポンプです。
導入価格が安く、コンパクトな設計の製品が多いというメリットがあります。しかし、メリットだけで油回転真空ポンプに決めると、後悔する可能性が高いです。
そこでこの記事では、油回転真空ポンプの特徴やメリット・デメリットについて解説します。油回転真空ポンプについて詳しく知るためにも、この記事をチェックしてみてください。
さらに、ドライポンプを取り扱うメーカーもご紹介しますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
油回転真空ポンプとは?
ここでは、油回転真空ポンプの仕組みと利用されている分野について解説します。油回転真空ポンプがどのような真空ポンプなのかが分かるでしょう。
油回転真空ポンプの仕組み
油回転真空ポンプは、油を回転させて真空状態を作り出す装置です。内部のローターが回転することで、気体を吸い込み圧縮、排出します。
油は潤滑と密閉の役割を果たし、高い真空度を実現が可能です。ポンプ内部はローターやシリンダー、油で満たされています。
ローターが回転すると、吸気口から気体が入り込み、圧縮室へと移動します。圧縮された気体は、排気弁を押し開け、油と共に排出されるのです。サイクルを繰り返すことで、容器内の気体は徐々に減少し、真空状態が生まれます。
油回転真空ポンプが利用されている分野
油回転真空ポンプは食品業界や電子部品、医療分野で利用されています。食品業界では、真空包装によって食品の鮮度を保ち、長期保存を可能にしています。
また、電子部品の製造現場では真空環境を利用し、高品質な半導体やディスプレイ作りをしているケースが多いです。医療分野では、手術器具の滅菌や、MRIなどの医療機器の冷却に利用されています。
油回転真空ポンプを利用するメリット
油回転真空ポンプを利用するメリットは以下の3つです。
それぞれのメリットを把握して、油回転真空ポンプの魅力を把握しましょう。
導入価格が安い
油回転真空ポンプは、導入価格が比較的安価であるのが大きなメリットです。他の真空ポンプと比較して、初期費用を抑えられます。
小型の製品であれば5万円〜が相場です。中型・大型の製品でも20万〜30万円ほどで導入できます。予算が限られている研究室や中小企業でも導入しやすいでしょう。
コンパクトで使いやすい
油回転真空ポンプは、コンパクトで使いやすいモデルが多く、研究室や実験室など、さまざまな場所で活躍しています。小型でありながら高い真空度を実現できるのも魅力的なポイントです。
限られたスペースでも設置しやすく、持ち運びも容易なため、場所を選ばずに使用できます。また、操作が簡単なモデルが多く、専門知識がない方でも安心して扱えます。
日々のメンテナンスも比較的容易で、長く使い続けることが可能です。
幅広い用途に利用可能
油回転真空ポンプは半導体製造や医療機器、食品加工、分析機器など幅広い用途に利用可能です。真空状態を作り出すことで、物質の蒸留や乾燥、脱気、成膜など、さまざまなプロセスの効率化ができます。
また、油回転真空ポンプは、比較的高い真空度を安定して得られるという特徴もあるため、精密な実験や製造プロセスにも適しています。
油回転真空ポンプを利用するデメリット
油回転真空ポンプを利用するデメリットは以下の3つです。
それぞれのデメリットを把握して、油回転真空ポンプが自社に合っているかの参考にしてみてください。
油の交換が必要
油回転真空ポンプを利用する上で避けて通れないのが、定期的な油の交換です。油回転真空ポンプは、真空状態を作り出すために油を使用しています。
油は使用するうちに劣化し、性能低下や故障の原因となるため、定期的な交換が必要不可欠です。油の交換頻度は、使用状況や環境によって異なります。
一般的には、数ヶ月に一度、または使用時間に応じて交換する必要があります。交換を怠ると、真空度の低下やポンプの故障につながるため、注意が必要です。
また、油の交換作業は、専門知識と技術を要する場合があります。
排気できる限界がある
油回転真空ポンプは、ポンプ内部の油を利用して気体を排出する仕組みです。しかし、油には蒸気圧があり、油回転真空ポンプで到達できる真空度は、油の蒸気圧によって制限されます。
一般的な油回転真空ポンプの場合、到達できる真空度は10-1〜10-2Pa程度です。より高い真空度が必要な場合は、油拡散ポンプやクライオポンプなどの他の種類の真空ポンプを検討する必要があります。
油回転真空ポンプは適切な油を選定し、定期的にメンテナンスをおこなうことで、高い真空度を実現することも可能です。しかし、原理的に排気できる真空度には限界があるということを理解しておく必要があります。
水分を含む気体に弱い
油回転真空ポンプは、水分を含む気体に弱いというデメリットがあります。ポンプ内部への水分の侵入は、油の劣化を早め、真空性能を低下させる原因のひとつです。
また、水分と油が反応して錆が発生し、ポンプの故障につながる可能性もあります。油回転真空ポンプを使用する際は、吸い込む気体の湿度に注意する必要があります。
水分を含む気体を吸い込む必要がある場合は、トラップを設置したり、ガスバラスト弁を使用したりするなど、適切な対策を講じることが重要です。対策を怠ると、ポンプの寿命を縮めるだけでなく、実験や製造プロセスに悪影響を及ぼす可能性があります。
油回転ポンプはドライ真空ポンプで代用できる?
油回転ポンプはドライ真空ポンプへ代用できるケースがあります。ドライ真空ポンプは油を使用しないため、油回転ポンプに比べてメンテナンスが容易で、油による作業環境の汚染リスクもありません。
また、排気ガス中に油蒸気が含まれないため、クリーンな真空環境が求められる半導体製造や分析機器などの分野で重宝されています。ドライ真空ポンプは油回転ポンプと同等以上の真空性能を持つ機種も登場しており、幅広い用途での代替が可能です。
初期導入コストは油回転ポンプよりも高くなる傾向がありますが、ランニングコストやメンテナンスコストを考慮すると、長期的に見てメリットが出る場合もあります。
ドライ真空ポンプでおすすめなメーカー3選
ドライ真空ポンプでおすすめなメーカーは以下の3社です。
それぞれの会社の特徴を把握して、どのドライ真空ポンプメーカーが合うかの参考にしてみてください。
神港精機株式会社

神港精機は長年にわたり真空技術を追求し、高品質なドライ真空ポンプを提供しているメーカーです。耐久性と性能の高さで多くの産業分野から支持を得ています。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 神港精機株式会社 |
設立 | 昭和24年1月24日 |
住所 | 神戸市西区高塚台3丁目1番35号 |
HP | https://www.shinko-seiki.com/ |
特に、半導体製造や医療分野など、高い真空性能が求められる現場で活躍しています。神港精機のドライ真空ポンプは、独自の技術により、安定した排気速度と低振動を実現している点が強みです。
また、省エネルギー設計により、ランニングコストの削減にも貢献します。充実したアフターサービス体制も魅力のひとつです。
専門の技術者が、製品の選定からメンテナンスまで、きめ細やかにサポートしてくれます。安心して長期間使用できるでしょう。
また、神港精機についてもっと気になる人は実際にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
また、以下の記事にて神港精機について書いているので、参考にしてみてください。

株式会社アルバック

アルバックは真空技術で世界をリードする企業として、幅広い産業分野に高品質な真空ポンプを提供している企業です。特にドライ真空ポンプにおいては、技術力と信頼性で高い評価を得ています。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社アルバック |
会社住所 | 神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地 |
創業年数 | 昭和27年 |
公式サイト | https://www.ulvac.co.jp/ |
アルバックのドライ真空ポンプは、半導体や液晶、太陽電池などの製造プロセスにおいて、不可欠な役割を果たしています。アルバックの製品は高い性能と安定性を備えているため、高度な真空環境が求められる分野に最適です。
また、充実したサポート体制を設けており、製品の選定から導入、メンテナンスまで、トータルでサポートしてくれるため、安心して利用できます。
また、以下の記事ではアルバックの製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

樫山工業株式会社

樫山工業株式会社は、ドライ真空ポンプの分野で高い評価を得ているメーカーです。長年の経験と技術力を活かし、多様な産業ニーズに対応する製品を提供しています。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 樫山工業株式会社 |
会社住所 | 長野県佐久市根々井1-1 |
創業年数 | 昭和26年 |
公式サイト | https://www.kashiyama.com/ |
特に、半導体製造や医療分野など、高度な真空環境が求められる分野での実績が豊富です。また、環境への配慮も重視しており、省エネルギーで持続可能な製品開発に力を入れています。
顧客のニーズに合わせたカスタマイズにも対応しているため、自社に最適なドライ真空ポンプを導入できるでしょう。
また、以下の記事では樫山工業の製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

まとめ
油回転真空ポンプは導入価格が他の真空ポンプに比べて安く、中小企業でも取り入れやすいです。また、コンパクトで使いやすい物も多いため、機器を置くスペースが確保できない企業でも導入できます。
しかし、油の交換が必要でランニングコストがかかったり、真空度に限界があります。トータルコストを安くしたい場合や高い真空度を求める場合は、他の真空ポンプを検討すべきでしょう。
この記事を参考にして、油回転真空ポンプが自社に合っているかを見極めてみてください。