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ヘリウムリークディテクタとは?仕組みや用途、構成に欠かせない機器も紹介

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ヘリウムリークディレクタに関する画像

真空装置や気密検査の精度向上に欠かせない『ヘリウムリークディテクタ』。その中でも、構成機器として重要なのが『ドライ真空ポンプ』です。しかし、

「ヘリウムリークディテクタってどんな製品?」
「どんな仕組み?」
「なぜドライポンプが必要なの?」

などと、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ヘリウムリークディテクタとは何か、活用される主な用途、そして構成に欠かせない機器のひとつであるドライ真空ポンプの必要性について解説します。失敗しない選定をしたい方に向けて、初心者にもわかりやすく丁寧に解説しています。

さらに、ドライポンプを取り扱うメーカーもご紹介しますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

ヘリウムリークディテクタとは?

ヘリウムリークディテクタの画像
出典元:株式会社アルバック

ヘリウムリークディテクタとは、密閉された装置や製品内部からのわずかなガス漏れ(リーク)を検出するための高感度な測定機器です。特に自動車部品、医療機器、電子機器などの気密性が求められる製品に使用されます。

目視や泡を使った簡易検査と比べて、微細な漏れも正確に把握できるのが特徴で、品質管理や安全性の確保に大きく貢献しています。

ヘリウムリークディテクタの仕組みは?

ヘリウムリークディテクタは、被検査物にヘリウムガスを吹き付けるか、内部をヘリウムで満たし、漏れたガスを質量分析計で検出する仕組みです。装置内の真空ポンプによって内部が真空状態に保たれ、ヘリウムのみを選択的に感知します。

漏れがある場合、極微量のヘリウムでも反応し、定量的に数値で表示されるため、定量管理が可能です。検出精度が非常に高く、極めて微細なリークでも確実に把握できる点が最大の特徴です。

なぜヘリウムガスを使うの?

ヘリウムガスがリーク検査に適している理由は、無色・無臭・非毒性で安全性が高く、分子が非常に小さいためです。小さな漏れ口でも通過しやすく、ほかのガスに比べて拡散性が高いため、わずかな漏れでも早期に検知できます。

また、大気中にほとんど含まれていないため、バックグラウンドの影響を受けにくく、検出結果の信頼性も向上。この特性により、精密な気密試験を必要とする分野でヘリウムが選ばれています。

ヘリウムリークディテクタが必要とされる主な用途は?

ヘリウムリークディテクタが必要とされる主な用途に関する画像

ヘリウムリークディテクタは、わずかな漏れも見逃さない高精度な気密検査機器として、さまざまな産業分野で導入が進んでいます。特に安全性・信頼性・性能が重視される製品や装置において、漏れの有無を確認する工程は欠かせません。

ここでは、どのような現場で実際に使用されているのかを、分野ごとに表にまとめました。

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分野・業界主な用途・検査対象特徴・目的
自動車産業燃料タンク、エアコン配管、バッテリーモジュール漏れによる火災・故障の防止、安全性確保
医療機器カテーテル、注射器、人工呼吸器、MRI冷却装置高い気密性と衛生性を求められる
半導体・電子部品製造センサー、パッケージ部品、冷却装置微細なリークも検出、製品の信頼性確保
宇宙・航空燃料配管、圧力容器、制御バルブ真空環境下での安全性確保と性能維持
家電製品冷蔵庫・エアコンの冷媒回路冷媒漏れによる効率低下や環境影響の防止
真空装置・機器真空チャンバー、ポンプ系統装置の性能維持と真空保持力の確認

精密な気密性が求められるあらゆる製品において、ヘリウムリークディテクタは信頼性の高い品質保証ツールとして活躍しています。用途ごとの特性を理解することで、より効果的な導入につながるでしょう。

ヘリウムリークディテクタの構成に欠かせない主な機器は?

ヘリウムリークディテクタの構成に欠かせない主な機器に関する画像

ヘリウムリークディテクタは単体で機能するわけではなく、複数の専用機器で構成されています。それぞれの装置が役割を担い、検出の精度と効率を高めています。どれが欠けても本来の性能を発揮できないため、構成機器の理解は非常に重要です。

ここでは、ヘリウムリークディテクタの構成に欠かせない主な機器について解説します。

各構成機器がどのような役割を果たしているのかを、以下で詳しく解説します。

検出ユニット(質量分析計)

質量分析計は、ヘリウムリークディテクタの中核を担う装置で、リークしたヘリウムガスを高精度で検出します。ヘリウムガスは分子量が小さいため、質量分析計で微細なガス漏れも検出できます。装置内で真空状態を保ちながら、ヘリウムの質量数をターゲットにして選択的にガスを分析。これにより、非常に微小な漏れも高精度で測定できます。

検出したガス量を基に、リーク量を数値化し、信頼性の高い試験結果が得られます。この技術により、様々な産業で精密な気密性テストが可能です。

ヘリウム供給装置(ガス導入機構)

ヘリウム供給装置は、リークテスト対象にヘリウムガスを供給する機能を持ちます。供給は、一定の圧力と流量でガスを導入する必要があり、適切な条件を保つことが漏れ検出の精度を確保するために重要です。

ガス供給装置は流量制御バルブや圧力レギュレーターが備えられ、精密に管理された環境下でヘリウムを供給します。これにより、正確なガス量が試験対象に供給され、リークの有無を高精度に検出できるようになります。供給精度が高いほど、検査結果の信頼性が向上するでしょう。

真空ポンプ(ドライ真空ポンプ)

ドライ真空ポンプは、ヘリウムリークディテクタ内で真空環境を作り出す役割を担っています。真空状態が維持されることで、他のガスの干渉を最小限に抑え、ヘリウムガスのみを正確に検出することができます。ドライ真空ポンプはオイルを使わず、清潔で効率的に排気を行うため、ガス分析の精度が向上することが可能です。

また、メンテナンスが容易で、長期間安定した性能を提供します。真空ポンプが正常に稼働することで、ヘリウムガスの検出精度が高まり、正確なリークテストが実現します。

ヘリウムリークディテクタにはドライ真空ポンプが必須!

ドライ真空ポンプに関する画像
出典元:神港精機

ヘリウムリークディテクタには、ドライ真空ポンプが必須です。なぜなら、ヘリウムリークディテクタは高精度でリーク検査を行うため、装置内部を真空状態に保つ必要があるからです。

真空ポンプは、試験対象からの微量なヘリウムガスを適切に引き込み、他のガスの影響を防ぐことが可能です。ドライ真空ポンプはオイルを使わず、清潔な環境での排気が可能で、分析精度を高める役割を果たします。

また、長時間稼働にも耐え、メンテナンスが簡単であるため、安定した性能を提供します。したがって、ドライ真空ポンプなしでは、ヘリウムリークディテクタの性能を十分に発揮できません。

失敗しないドライ真空ポンプの選び方

失敗しないドライ真空ポンプの選び方

ドライ真空ポンプを選定する際には、装置の性能や運用コストなど、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。適切な選択をしないと、性能の低下やメンテナンスの手間が増え、結果的にコストがかさんでしまうことになります。

ここでは、失敗しないドライ真空ポンプの選び方について解説します。

これらの要素がどのように選定に影響するのかを、それぞれ解説します。

装置に合った性能仕様を確認する

ドライ真空ポンプを選ぶ際には、装置の仕様に合った性能を持つ機器を選ぶことが最も重要です。使用する環境や目的に合わせた性能を持つポンプを選ばないと、期待する効果が得られません。

例えば、ポンプの排気速度や最適な圧力範囲が重要な要素です。もし、選択したポンプが装置の性能を発揮できない場合、作業の効率が落ち、最終的には品質に影響を与える可能性もあります。

ポンプの選定では、流量や圧力の設定値目標とする真空度に応じて適切なモデルを選ぶことが、安定した運用を実現するために不可欠です。したがって、ポンプの性能仕様は、導入時に必ずチェックすべき最も重要な要素といえるでしょう。

メンテナンス性と運用コストもチェックする

ドライ真空ポンプの選定においては、メンテナンス性と運用コストも重要なポイントです。どれほど高性能であっても、メンテナンスが困難であったり、ランニングコストが高すぎる場合、長期的に見て非常に負担になる可能性があります。

メンテナンスのしやすさは、ポンプの選定基準において無視できません。例えば、フィルターの交換やオイルの管理が簡単で、日常的なメンテナンスが容易なポンプを選ぶことで、運用負担を減らせます。

また、電力消費量や交換部品の価格なども、運用コストに影響を与える要素です。低消費電力や高耐久性を持つ機種は、長期間の使用において経済的なメリットを提供します。ポンプを選ぶ際は、購入時の価格だけでなく、長期的な維持費用も十分に考慮する必要があるので注意が必要です。

信頼できるメーカーを選ぶ

ドライ真空ポンプを選ぶ際、信頼できるメーカーを選ぶことも非常に重要です。市場には多くのメーカーがあり、それぞれが異なる特長や性能を持った製品を提供しています。

しかし、どのメーカーが良いかは一概に決められません。信頼できるメーカーは、製品の品質管理がしっかりしており、アフターサポートが充実していることが特徴です。品質や性能だけでなく、導入後のサポート体制や故障時の対応が重要です。例えば、部品の供給や修理対応が迅速で、長期にわたるサポートが受けられるメーカーを選ぶことで、安心して使用することができます。

また、信頼性の高いメーカーは、顧客からのフィードバックをもとに製品改良を行っているため、製品の耐久性や効率性が向上しています。信頼できるメーカーを選ぶことが、長期的な使用と運用の成功を保証するための最善の方法です。

信頼できるドライ真空ポンプメーカーの選び方

ドライ真空ポンプメーカーの選び方に関する画像

ドライ真空ポンプを選定する際、性能や価格だけでなく、メーカーの信頼性も重要な要素です。適切な選定を行うためには、以下のポイントを確認することが必要です。

実績と信頼性
アフターサポートの充実度
メンテナンス性と耐久性
エネルギー効率と省エネ性能
製品のカスタマイズや柔軟な提案力

ドライ真空ポンプを選定する際、上記のポイントに加え、運用環境に合った製品選定が重要です。設置スペースや排気能力、真空度の要求に応じた性能を選ぶ必要があります。

また、耐久性やメンテナンス性が良好な製品を選ぶことで、長期的な運用が安定します。エネルギー効率を重視すれば、運用コストを抑え、環境への配慮も可能です。信頼できるメーカーの製品を選ぶことが、安定した運用に繋がるでしょう。

また、過酷な環境下で使用する場合は、特に耐熱性や防塵性能が重要です。メーカーのサポート体制や保障内容も確認し、万全の体制で運用を支えるための準備が整っていることを確認しておくことが大切です。

おすすめのドライ真空ポンプメーカー3選

ドライ真空ポンプメーカーに関する画像

ドライ真空ポンプは、産業機器や研究開発など多岐にわたる分野で使用されています。信頼性や耐久性、エネルギー効率の面で優れた製品を選ぶことが、長期的な運用コスト削減や安定稼働に繋がります。ここでは、特に信頼性と技術力に定評のあるドライ真空ポンプメーカーを3社紹介します。

それぞれのメーカーが持つ技術的な強みや製品特徴を、以下で詳しく紹介します。

神港精機株式会社

出典元:神港精機株式会社

神港精機株式会社は、ドライ真空ポンプをはじめとする真空技術の専門メーカーで、特にスクリュー型ポンプに定評があります。

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項目詳細
会社名神港精機株式会社
設立昭和24年1月24日
住所神戸市西区高塚台3丁目1番35号
HPhttps://www.shinko-seiki.com/

神港精機のSST/SSXシリーズは、効率的な排気を実現し、省エネ性能が非常に高いため、コスト削減を図りながら高い性能を発揮できます。さらに、最新の技術を駆使して、産業用機器や半導体製造など、高精度な真空管理が求められる現場での使用に最適です。

高い耐久性と安定した性能を持ち合わせた製品が多く、アフターサービスも充実しており、長期的な安心を提供しています。信頼できるパートナーとして、特に高精度な機器を必要とする現場にはおすすめです。

加えて、神港精機は常に顧客ニーズに応じた製品開発を行っており、技術の向上を目指して継続的に改善を進めています。これにより、安定した性能と高い品質を維持しています。

また、神港精機についてもっと気になる人は実際にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

また、以下の記事にて神港精機について書いているので、参考にしてみてください。

株式会社アルバック

出典:株式会社アルバック

株式会社アルバックは、真空技術を基盤にした総合機器メーカーで、特にLSシリーズのスクリュー型ドライ真空ポンプが高評価を受けています。

項目詳細
会社名株式会社アルバック
会社住所神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地
創業年数昭和27年
公式サイトhttps://www.ulvac.co.jp/

このシリーズは、省電力技術と高排気速度を兼ね備えており、消費電力を抑えつつ、速やかな排気が可能です。さらに、アルバックはメンテナンスやサポートの充実度でも知られ、導入後のサポート体制がしっかりと整っています。

高性能と環境配慮型の機器を導入したい企業に最適であり、特に製造業や研究機関での導入実績が豊富です。製品に対する信頼性が高く、長期的な使用においても優れたパフォーマンスを発揮します。

また、アルバックは業界標準に準じた製品の開発にも力を入れており、常に最新技術を取り入れることで、より高い効率と性能を提供しています。これにより、先進的な技術を必要とする現場でも安心して使用できるでしょう。

また、以下の記事ではアルバックの製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

樫山工業株式会社

出典:樫山工業株式会社

樫山工業株式会社は、ドライ真空ポンプの分野で豊富な実績を持つメーカーです。

項目詳細
会社名樫山工業株式会社
会社住所長野県佐久市根々井1-1
創業年数昭和26年
公式サイトhttps://www.kashiyama.com/

特にSDシリーズは、その高い排気速度と省エネ性能が特徴で、高耐久性と過酷なプロセスに対応したモデルとして、多くの業界で使用されています。メンテナンス性や消費電力の低減にも注力しており、ランニングコストを抑えた高効率ポンプが特徴です。

さらに、半導体製造や化学工業での使用が見込まれる製品も多く、過酷な環境にも耐える設計が求められる現場に最適です。高い耐久性とコストパフォーマンスを重視する企業には特におすすめのメーカーです。

樫山工業はまた、環境に配慮した製品設計にも力を入れており、省エネ・低排出ガスのポンプを提供することで、企業の環境負荷を削減する手助けをしています。これにより、サステナビリティを重視する企業にも最適です。

また、以下の記事では樫山工業の製品や特徴について紹介しているので、参考にしてください。

まとめ

本記事では、ヘリウムリークディテクタの構成に欠かせない主要機器や、選び方について解説しました。

ヘリウムリークディテクタは、精度の高いリーク検査を実現するために、検出ユニット(質量分析計)、ヘリウム供給装置(ガス導入機構)、ドライ真空ポンプの3つの機器が必要不可欠です。それぞれの役割が合わさって、微細なリークも逃さず正確に検出することができます。

特にドライ真空ポンプは、真空環境を作り出し、他のガスの影響を防ぐため、非常に重要な役割を果たします。リーク検査の精度を確保するためにも、適切な性能を持つ機器の選定や、信頼できるメーカーの選択が成功のカギです。また、運用コストやメンテナンス性も重要な要素であり、長期的な視点での選定が求められるでしょう。

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